指導の基本は、徹底マンツーマン
金沢工業大学遠景。他大学にはないサービスを惜しみなく学生に提供し続け、それが結果としても表れている |
ずばり難解な授業についていけないのは個人の能力がないからだと放置せず、「工学基礎教育センター」と呼ばれるところで数学や物理の勉強を基礎からやり直しをさせているのです。専任教授を置き、基礎学力をつけさせたり、学習支援計画書(シラバスと言われ、授業内容・評価方法などを事前に生徒に知らせる)を使い、授業の予習復習しっかりさせる。このシステムはまるで塾のようです。「大学は今、ここまでやっているんだ……」という事実に正直驚かされました。
他には、365日24時間開放されている自習室や、夜10時まで開放されている図書館。目的を具体的に持たせ、それを計画し、具現化させる練習(工学設計教育)が行われています。これは以前、できない生徒は目標を高く抽象的に設定しすぎるということを指摘しましたが、できない生徒の性質をよく理解し、目標を具体的に設定させ、それを他の人の前で発表させ、実行させていく過程で「達成感にもとづく学生満足度向上を目指す」という理想的な教育なのです。
できる生徒を多く集め教育をするのは実は簡単。授業を聞き、学習する教育の素地ができているからです。基礎学力のない生徒を一から指導し、モチベーションを高めさせ、有能な社会人になるように教育していくのは、現代の教育のひとつの完成形でしょう。