線香の主な原料
線香は、主な原料によって「杉線香」と「匂い線香」の2種類に分けることができます。- 杉線香
……杉の葉の粉末を原料に製造されるもので、杉の香りが強く煙が多いタイプ。お墓参り用として安価に販売されています。 - 匂い線香
……椨(たぶ)の木の樹皮を粉末したものに、沈香や白檀などの香木や香料、杉の粉末などを加えて製造されます。安価なものから1本1万円以上するものまであります。
長さの種類もいろいろあり、通常使用される短寸もあれば、寺院が使用する中天香、大天香などがあります。
お墓参り用に必ずしも杉線香を使う必要はありません。束でなければならないという決まりもありませんから、いつも仏壇にお供えしているお気に入りのお線香を持参しても良いでしょう。
線香の香りのもとになるもの
シナモンの樹皮。料理のスパイスとして使用されるだけでなく、お香の原料になることもしばしば。 |
- 白檀(ビャクダン)
……別名サンダルウッド。インド産のものが特に高級品とされている。 - 沈香(ジンコウ)
……東南アジアに生息する香木。特に香りの良いものは「伽羅(キャラ)」と呼ばれている。 - 椨(タブ)
……クスノキ科の常緑高木。樹皮を粉末にして使用。 - 桂皮(ケイヒ)
……別名シナモン。料理のスパイスとしておなじみの香料。 - 丁子(チョウジ)
……別名クローブ。丁子の木の花蕾を乾燥させたもので、料理のスパイスとしても使用される。 - 麝香(ジャコウ)
……別名ムスク。雄の麝香鹿の香嚢を摘出して乾燥させたものから取り出した動物性の香料。現在は天然のムスクはワシントン条約で禁止されているので巷で目にするムスクのほとんどは合成香料。 - バラ
……バラ系の香りは清涼感があり人気。西洋アロマと違うのは、生薬系香料とミックスされている点。 - ラベンダー
……アロマセラピーではおなじみのラベンダー。お線香でもラベンダーの香りは人気があります。
他にも「珈琲」「イチゴ」「はちみつ」など変わった香りも登場しています。香りは人それぞれ好みがありますので実際に匂いをかいで気に入ったものを選ぶのが一番!最近は匂いだけでなく煙の量にこだわる人も増えています。密閉性の高い現代の家屋内では、煙の量が少ないお線香が好まれる傾向があります
ギフトの場合は相手の好みを考えて
不祝儀の場合、お線香は相手に失礼がなく無難な品物としてギフトに最適な品物です。今ではインターネットでも簡単に購入&発送できますので、わざわざ仏壇店へ足を運ばなくても手軽にお好みのお線香を選ぶことができます。しかしここで注意。インターネットでは実際の香りを確かめることができませんので、送る相手によっては「せっかくいただいても使えない……」というケースもしばしば。お線香は「高級なお線香なら無難な香り」というわけではありません。むしろ伽羅や沈香がたくさん含まれている高級品は古典的な独特の香りを放ち、日常生活では馴染みがありませんので「この香りは苦手だな」と感じてしまう人が多いのも事実。花のエキスや欧風っぽい香りがブレンドしてあるお線香のほうが日常的には使いやすい場合もあります。
これからはお気に入りの香りを持参!
線香筒(右)と抹香入れ(左)。「故人やご先祖にぜひ差し上げたい!」と思うお線香や抹香でお参りしてみては。最高の贈り物になりますよ。 |
そもそもお香典とは、その名のとおり「香」をお供えするという意味からきたもの。ご先祖を供養する意味でも、備え付けのお香ではなく自ら持参したお香をお供えすることは最高の供養になるのです。
お線香を気軽に持ち運べるように、専用の線香筒がありますので、1つ購入しておくと便利です。
最後に、宗派によって違うお線香の作法をご紹介!次ページへ