女性ライターの“好き”が詰まった自費出版本『カフェうらら』

カフェうらら
『カフェうらら』/文と写真・こんどうみき デザイン・いくたけいこ 1470円(税込)。ノートのような装丁、おまけのしおりもかわいい
今、名古屋のカフェマニアの間で静かなブームを起こしている一冊の本。『カフェうらら』は、ほぼ口コミだけで売り切れ続出となっている隠れベストセラーです。

何とこの本、女性ライターが企画から取材、執筆、写真撮影までを、たった1人で手がけた自費出版本。紹介されているのは、名古屋を中心とした東海地方のカフェと少しの雑貨屋計105件。何よりの魅力は、文章も写真も、カフェが大好きな著者自身の目線で表現されていること。そのお店と出会った時の思い出や、そこですごした時間の愛おしさなどを通して、1軒1軒の魅力を伝えてくれているんです。

この愛情たっぷりの本を作ったのが、愛知県在住のフリーライター・こんどうみきさん。出版までの経緯や制作中の苦労話、そしてカフェの魅力についてお聞きしました。

「えっ、こんなところで?」という場所で
本当にやりたいことをやってるカフェが増えている

こんどうみきさん
「手作りのぬくもりを感じられる、そんなカフェが好き」と言うこんどうみきさん。インタビューの場所は、お気に入りの「sora cafe」(次ページ参照)の2階窓際の席
― 出版のきっかけ

こんどう 「名古屋のタウン誌の編集部に4年間勤務し、その間に何度かカフェ特集も手がけてきました。完売するなど読者の支持も得られてうれしかったんですが、自分としては100%やり切れたとは思えなかった。その頃から、フリーになったら、出版社に頼らずに、自分の力で思い通りに1冊作ってみたいとひそかに考えていたんです。会社を辞めたのは昨年の2月。やはりカフェが好きな友人の女性デザイナーと組んで、2人でアイデアを出し合ってイメージを膨らませていきました。5月末くらいから半年あまりかけて取材をし、3月末に完成しました」

― 取材で苦労したこと

こんどう 「車の運転です(笑)。編集者時代は、カメラマンさんの車に同乗させてもらっていたので、ずっとペーパードライバーだったんです。一度だけ会社の営業車を運転した時もいきなりブツけちゃって‥‥。でも、1人で取材に行くんだから、自分で運転するしかなくって。すっごく田舎の山の上にぽつんと建ってるお店とかもあるので、道に迷うことも何度か。やっとたどり着けた時には、ほっとしてそのまま何時間もお店の人とおしゃべりしたり。そんなふうだから取材は1日2軒が限界で、1軒に4時間もお邪魔してたこともありました」

― 写真も自分で

カフェうらら
柔らかくて温もりのある写真が満載。カフェ写真集として眺めているだけでも、気分はいつしかまったりモードに
こんどう 「大学時代、写真部だったんです。カメラは大好きで、編集者の時も取材の空き時間にパシャパシャ撮ってました。でも、ちゃんと勉強したことがないので、技術的なことは全然分からなくって。構図の基本も知らないんですが、あえて余白のある、周りの空気を一緒に取り込めるような写真を目指しました。本を買ってくれた知り合いのカメラマンさんには、“僕にはこんな乙女な写真は撮れないなぁ”と言われました(笑)」

― どんなカフェが好き?

こんどう 「最初から完成されているのではなく、訪れる度に何かひとつ変化があったり成長を感じられたり。そんな人の手で作られていることが感じられるお店が好きです」

― 名古屋や東海地方のカフェの最近の傾向は?

こんどう 「東京や大阪との違いと言われると分からないんですけど、ここ何年かすごく件数が増えていることは確か。特に、街中でも大通りから一本入った裏通りや、郊外なら周りが田んぼばかりのところとか、“こんな場所で大丈夫?”と心配になっちゃうような場所で始めるお店が多い(笑)。自分たちの気に入った場所で、自分たちが本当に好きなことをやりたい、そんなお店が増えているように感じます」

次のページからはこんどうさんお薦めの名古屋カフェを紹介。