国内屈指のふぐの産地として注目度急上昇。
地元の宿・料理店の取り組みで一躍メッカに

南知多のふぐ
南知多では地元産とらふぐの料理を目玉とする宿、飲食店が急増中
師走に入り、ようやく冬らしい寒さも到来。さて、この時期に食べておきたいごちそうがふぐ。てっさ、ふぐちり、唐揚げ、白子料理などなど、その上品な味わいからは冬グルメの王様にふさわしい風格が漂います。

ふぐといえば山口県の下関が有名ですが、実は愛知県も有数の産地。水揚げ量は今や全国1、2を争うほどなのです。

ふぐ処・愛知を代表するのが南知多町。伊勢湾と三河湾に突き出す知多半島の先端に位置し、岬から船で10分程度で渡れる離島もあり。名古屋からわずか1時間で、日帰りドライブや小旅行にもうってつけ。ふぐの他にもタコ、アナゴ、シャコ、アワビ、車エビ、カキ、各種地魚などおいしい魚介類は目白押し。「うまい魚を食べに行こうか」と名古屋人が思い立った時、真っ先に頭に浮かぶ海産物の宝庫です。

ふぐ
とらふぐの漁獲量で全国1位に輝く年もある愛知県。隣の三重県、静岡県も近年漁獲量が伸び、この地域の漁場のよさが証明されている
この南知多のふぐが脚光を浴びるようになったのは90年代後半から。昔から良質の天然とらふぐが揚がっていたのですが、その多くはメッカである下関へ送られていました。下関が不漁の年は、向こうの業者がこぞって南知多のふぐを買占めにやってきたほど。それが、近年の地産地消の流れもあって「地元の食材は地元で食べてもらおう」との気運が高まり、ふぐ料理を冬の名物として出す旅館や料理店が増えてきました。どの宿、店も地物を使うので流通コストがかからず、比較的リーズナブルに食べられるのも大きなメリットです。

漁は10月に解禁され2月まで、ふぐ料理は3月まで。冬らしさが増してくる今時分からが本格的なシーズンです。さらに、1~2月にかけては白子も大きくなり、ふぐの淡白な味わいにまったりとしたコクと深みを加えてくれます。

離島あり観光市場あり。
南知多の各エリアの特色

それでは、南知多町の各エリアの特徴や楽しみ方を紹介しましょう。

【南知多町(半島内エリア)】
海岸線の爽快なドライブルートが続き、その国道沿いを中心に多くの宿、魚介料理をメインとする飲食店が見つかります。

ふぐの魚醤焼き
南知多オリジナルのふぐ料理・魚醤焼き。この地域特産の魚で作る醤油、魚醤を活かした新・郷土料理だ
この地域ならではのふぐ料理が魚醤(ぎょしょう)焼き。豊浜港で揚がるカタクチイワシを18ヶ月熟成させて作る魚醤「しこの露」をベースにしたタレにふぐを漬け込み、炭火焼きします。ふぐのぷりっとした食感、魚醤独特の香ばしさを合わせて楽しめる、素朴な中に素材の力強さを噛みしめられる一品です(日間賀島、篠島でも魚醤焼きはあり)。

古くから干物作りも盛んで、ふぐの干物は弾力のある噛みごたえの中からじんわりうまみが広がります。土産物店でふぐや穴子(この地方ではメジロと呼びます)の干物を見つけたら、迷わず「買い!」です。買い物は観光市場の「豊浜さかなひろば」が最も商品が充実。自家製の干物や鮮魚、珍味などが揃っています。

南知多観光協会


【日間賀島】
「南知多=ふぐ」のイメージ作りに最も力を入れ、貢献してきたのが日間賀島(ひまかじま)。「夏のたこ・冬のふぐ」を2大看板として積極的にアピールし、近年の南知多の観光をリードしてきました。

日間賀島
三河湾に浮かぶ日間賀島。ふぐ、タコ、白ミル貝など自慢の魚介類が盛りだくさん。小さな島内に80件もの宿泊施設が集中している
周囲約5・5km、徒歩でも2時間あれば一周できる小さな島で、観光に力を入れている割にはあまり俗化されたムードはなく、島ならではの素朴さが守られています。漁師の平均年齢が全国でも5本の指に入るほど若いのも島の活力の象徴。そんな島っ子の元気さが島全体の活気となって、旅行者を明るく温かく迎えてくれます。

ふぐの調理技術の向上、新メニューの開発にも島を挙げて取り組んでいて、定番のてっさやふぐちりはもちろん、ユニークなふぐの創作料理に出会えるチャンスもあり。島内には旅館、民宿など宿泊施設が80件。素朴で温かみのあるサービスが受けられます。

名古屋から最も近い離島、というアクセスのよさも魅力。名古屋市内から半島先端の師崎港までは高速道路を使えば1時間足らず。日間賀島へはそこから観光船が1日約20便運航され、わずか10分で渡ることができます。

■ 日間賀島観光協会


【篠島】
篠島
日間賀島の南に位置する篠島。豊かな漁場に囲まれ、太公望を求める釣り客も多い
こちらは師崎港から船でわずか7分。三河湾に浮かぶ周囲約7kmの離島です。「東海の松島」とも称される美しい海岸線、東海随一とうたわれる夕陽など風光明媚な自然に恵まれている上、魚介類の新鮮さ、おいしさも折り紙つき。古くから多くの観光客を受け入れてきました。島内には約40件のホテル、民宿があり、ふぐをはじめとする魚料理でもてなしてくれます。

近年はやはりふぐ料理を目玉とする宿が増え、地元産ふぐのブランド化にも力を入れています。「篠島ふぐ」の看板を掲げる宿では、ふぐ料理と一緒に、そのふぐを獲った島の漁師の写真を並べ、ウソ偽りのない地元産天然モノであることをアピールします。

また、大いにそそられるのが「篠島ふぐまつり」。2006年11月~2007年3月の毎月1回、島内の対象の宿に宿泊したお客さんに、朝食としてふぐの味噌鍋とヒレ酒をふるまってくれるのです。夜も朝もふぐ三昧。島自慢の美味を存分に堪能できそうです。

■ 篠島観光協会


ふぐのシーズンはいよいよこれから。名古屋からのグルメ小旅行は、南知多が最も身近な目的地。定番から創作までおいしいふぐ料理がバラエティ豊かにそろっています。年末年始の予定が未定という方、ふぐコースが目玉の宿、飲食店の予約はまだまだ間に合います!

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