意外に健闘した公立高校
2006年の合格者ランキング(上表)では上位校に大きな変化はありませんでしたが、ゆとり教育という逆風の中、健闘した公立高校がありました。例えば岡崎高校(愛知)は、昨年と比べ「21位→13位(28名→36名)」にランクアップ。これは全国の公立高校の中ではトップの数字。また、昨年度ランキング外だった一宮高校(愛知)は今年20位にランクイン。こちらもなんと公立高校。ほかにも、宇都宮高校(栃木)、富山中部高校(富山)、岐阜高校(岐阜)など、東大合格者数を増やしている公立高校があったのです。ゆとり教育もどこ吹く風といったところでしょうか。ですが、これにはある秘密が。それは岡崎高校も一宮高校も、文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」(SSH:科学技術・理科、数学教育を重点的に行う高校)に指定されており、富山中部高校は「学力向上フロンティアハイスクール」(学力向上フロンティアハイスクール:高校生の学習意欲・学力向上に総合的に取り組んでいる高校)に指定されていたのです。こうした高校は国から特別な予算がもらえ、東大や京大などの大学と連携し大学レベルの授業が受けられるなど、ハイレベルで特色のある学校づくりが行われています。公立高校で「東大+京大」の現役合格率が一番高かった京都市立堀川高校も、実はSSHです。
2003年度から公立高校でもゆとり教育が始まりましたが、SSHによって合格者数を飛躍的にのばしている公立高校もあるのです。このSSHは、川越高校や早稲田高等学院など、今年度新たに31校が指定されています。公立の高校を志望する場合は、志望校が「SSH」かどうかもチェックしておきたいところです。
国公立大学の医学部人気が背景に
2001年度の31.6%を境に、東大合格者に占める公立高校の割合は少しずつ増えています。私立高校はこのまま公立高校に押されてしまうのでしょうか?この公立高校の躍進劇の背景には、どうも私立高校の医学部人気にあるようです。東京大学理系学部(医学部の理IIIは除く)と国公立大学の医学部は、偏差値での難易度はほぼ同じくらい。有名私立の中高一貫校から無理して東大を受験せず、京都大学や地元の国公立大学の医学部を受験するというケースが増えているのです。
よって、私立中高一貫校の中には、東大合格者数があまり伸びていない高校もあります。例えば、西大和学園(奈良)は東大合格者は27名とそれほど合格者を輩出しているわけではありませんが、京大合格者は95名ととても多くなっています。国公立大学医学部合格者数の第1位は86名の東海高校(愛知)で、開成高校は第5位の54名なのです(サンデー毎日2006年5月28日号より)。
いずれにしても、東大合格者数だけがすべてではないので、志望校を選ぶ時は、どのような大学へ合格者が多いのかもチェックしておきたいですね。
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