今回の行き先は、【岐阜】 馬籠宿の古い町並みを歩く |
中山道は江戸(東京)日本橋から始まって上州、信州、美濃を経て京都・三条大橋に至る街道で69の宿場が置かれました。中でも馬籠宿は現代に至るまで当時の面影を色濃く残す宿場の一つです。
今回は島崎藤村の故郷、馬籠宿から隣の妻籠(つまご)宿へ歩いてみることにしましょう。
時代の流れに乗らず、昔の雰囲気を保った宿場町
昔の宿場町の雰囲気が残る馬籠宿。町並みの保存を町ぐるみで行っている(1999年4月撮影) |
時代が変わるに連れて、人々の移動手段も変わっていきます。アップダウンの少ない木曽川沿いに中山道の代わりとして国道19号線が開通し、さらに国鉄中央(西)線も開通。これにより人の流れは大きく変わってしまいました。
山越えを伴う中山道を通る人はほとんどいなくなり、馬籠宿と妻籠宿は時代に取り残されるように静かな時を迎えることになったのです。このことが幸いして宿場町としての風景を開発の波から守ることになりました。
坂の途中に作られた馬籠宿
坂の途中に作られた馬籠宿。石畳が雰囲気を盛り上げる(1999年4月撮影) |
石畳の坂道と宿場町の雰囲気を壊さないようなデザインの建物が落ち着いた雰囲気を醸し出していて、電気や電話線、電柱をすべて各建物の裏側に移動して直接目には見えないようにする配慮もなされています。
また島崎藤村の故郷であることを示すべく、宿内の藤村記念館では島崎藤村の生涯を振り返るための資料や作品が展示されており、在りし日の藤村の作品をガラス越しに見ることができます。
馬籠峠を越えて妻籠宿へ
この先を進むと馬籠峠を経て妻籠に至る(1999年4月撮影) |
馬籠宿を出発すると比較的急な上り坂が続きます。登り切った所が馬籠峠でここから妻籠宿までは、ゆるやかな下りで時間にしておおよそ3時間程度。
街道沿いの木々を見ながらの峠越えのハイキングで森林浴も楽しめるでしょう。残念ながらそこまで時間がない……という場合は、馬籠から妻籠を経由して南木曾駅へ向かう「おんたけ交通バス」が1日3~5往復運行しています。またタクシーでも移動することも可能。
なおハイキングで馬籠-妻籠間を移動する場合、観光シーズンの土曜・日曜・祝日のみですが馬籠の観光案内所と妻籠の観光案内所の連携による手荷物運搬サービスを有料で利用することができます。 8時から11時半までの間に手荷物を預けると馬籠から妻籠に(もちろん逆コースも可)運搬してくれます。
全国で唯一の木製の黒ポストがある妻籠宿
妻籠宿は江戸時代、中山道と伊那街道が交差する宿場町として栄えていました。馬籠宿と同様に宿場町の町並みが残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。実は妻籠には全国唯一のモノがあります。それは木製の黒ポスト。ポストと言えば赤いというイメージがありますが、この黒ポストは明治20年から実際に使われていたもので「夜明け前」にも開局当時の様子が登場する妻籠郵便局を町並みにあわせて復元する時に一緒に復元したものです。珍しいものなのでぜひ見てみましょう。
他にも宿の中心である本陣、脇本陣が復元されており、中を見学できます。
平成の大合併により県が変わった馬籠宿
ちなみに馬籠宿、妻籠宿共に明治時代の廃藩置県後は長野県に属していました。しかし昨今の平成の大合併により、馬籠宿のある長野県山口村が隣の岐阜県中津川市に2005年2月に合併されました。このため、馬籠宿は属する県が変わったという全国でも珍しい越県合併の舞台でもあるのです。県が変わっても今までどおり江戸時代の宿場町の雰囲気を未来に残していくことでしょう。 今度のお休みには、静かで落ち着いた宿場町、馬籠と妻籠を大切な人と二人でゆっくり歩いてみてはいかがでしょうか?
馬籠宿、妻籠宿へのアプローチ
■馬籠宿URL :馬籠観光協会
地図:Yahoo! 地図情報
・電車の場合
JR中央線 中津川駅下車。北恵那交通バス 馬籠方面行きに乗り、馬籠バス停にて下車。
・高速バスの場合
新宿-中津川・名古屋間、名古屋-飯田・箕輪・松本など中央自動車道を経由する高速バス停にて馬篭バス停下車。馬篭バス停から馬籠宿まで徒歩約15分(1km)。
・車の場合
中央自動車道 中津川インターチェンジより国道19号線、県道7号線へ。または中央自動車道神坂パーキングエリアに車を置いて馬籠宿まで歩くこともできます。徒歩15分(約1km)
■妻籠宿
URL :妻籠観光協会
地図:Yahoo! 地図情報
・電車の場合
JR中央線 南木曽駅下車。おんたけ交通バス 妻籠経由保神行きまたは馬籠行きに乗り、妻籠バス停にて下車。
・車の場合
中央自動車道 中津川インターチェンジより国道19号線、国道256号線へ(約40km)。
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