カタシモワインフード
河内ワインさんのあとに訪れたのが、カタシモワインフード(大阪府柏原市太平寺2-9-14)さん。大正元年(1912年)創業で、90年以上の歴史を誇る老舗企業。大阪はもちろん、西日本でも最古のワイナリーです。
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カタシモワインフードさんご自慢の自社農園「合名山」です。これだけ大量のブドウに囲まれると本当に信州にでも来た気分になります。 |
現地についてさっそく案内されたのが、面積が2haほどあるという自社農園「合名山」。どこを見てもブドウ、ブドウ、ブドウの山で「本当にここが大阪ですか?」と聞きたくなるような自然美あふれる光景が展開されていて驚きます。
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カタシモワインフードさんのブドウは除草剤を一切、使わない減農薬栽培で大阪府からも「エコ農産品」として認定されているとか。実際に洗わずにそのままでも食べることが出来ます。 |
もともと柏原・堅下は、水はけが良い土壌、温暖少雨、多照とブドウ栽培に適した土地で、江戸時代にはすでに日本古来のブドウ(紫ぶどう)が日陰樹として存在していましたが、明治政府の殖産興業で「食べられるブドウを植えよう」ということで甲州ブドウが植えられました。当時、持ち込まれた樹齢90年を越えるブドウの老木はまだ残っているそうですが、ガイドは樹齢50年のブドウの実を頂きました。半世紀の時代を感じさせないほど新鮮かつ美味しいブドウで、地産地消という言葉がありますが、やはり産地で食べるブドウというのは違います。
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国の登録有形文化財に選定された貯蔵庫の扉です。ここに貯蔵して出荷時期をずらすことでブドウの価値を高めたわけです。生産者、大阪商人の智恵といえます。 |
合名山のあとは工場見学です。ブドウの搾汁機や梱包の様子、木樽なども拝見しましたが、とくにガイドが面白かったのが「カタシモワイフード貯蔵庫」。大正時代に建造されたもので1階は鉄筋コンクリート、2階は木造で、1階の床と壁の中に炭を詰めて気温や湿度調整を行います。中に入ると、ひんやりとした空気感が心地よく、美味しそうなワインが数多く陳列されていますが、戦前の昭和16年のブランデーなどもあるとか。平成17年には、非常に珍しい地場産業の近代化遺産として国の登録有形文化財に選定されました。