大阪くらしの今昔館でお正月・初詣を楽しむ(2ページ目)

「なにわ町家の歳時記」を楽しむ

古文書を元にさまざまな検証や考察を経て忠実に再現された大坂町3丁目の大通りです。

10階から9階に降りると、ここが大阪くらしの今昔館のメインステージともいうべき「なにわ町家の歳時記」のフロア。モデルとなった大坂町3丁目出入口の木戸門を通り抜けると、そこには風呂屋、人形屋、本屋、町会所、合薬屋、しもたや、呉服屋、唐物屋、小間物屋、建具屋が立ち並ぶ大通り。町会所と合薬屋とのあいだには路地があって、そこを潜り抜けると祠、土蔵、裏長屋、長屋の住人が使用する共同井戸や共同便所までもが、実に見事に再現されています。

これらの商家や長屋は、ただ外観の装いを真似ただけではなく、当時の江戸時代の伝統的な建築工法に則って制作されたというこだわりようで、江戸マニア、建築マニア垂涎（？）のセットとなっています。

夕方の大坂町の様子です。照明効果に過ぎないのですが、なぜか街角に黄昏や物悲しさまで漂いはじめます。

またガイドが夢中になって大坂町3丁目を散策していると、あちらこちらから「荷車の走る音」「ゲタの音」「商家の呼び込みの声」「あさり売り、さおだけ売り、とんがらし売りの声」「すずめ、野鳥のさえずり」「犬や猫の鳴き声」といった生活音や自然音が聞こえてきました。

眼だけでなくて耳でも江戸時代の大坂町3丁目を楽しんでいただこうという趣向ですが、とくにガイドが驚いたのが、どこからともなく鐘の音が聞こえると、突然、館内が暗くなり始めたことです。カラスやトンビの鳴き声も聞こえて「夕刻の大坂町」が再現されたかと思うと、いつのまにか商家の行灯が燈って「夜の大坂町」が浮かび上がり、突如ニワトリの鳴き声で「朝の大坂町」を迎える……館内の照明効果で、昼～夕～夜～朝という大坂町の1日の時間サイクルまでもがリアルに再現されているわけで、このミュージアムの心憎い演出には心底うならされます。

ミュージアムショップには今ではなかなか見られなくなった昔懐かしい駄菓子なども売っています。お祖父ちゃんお祖母ちゃんへのお土産には大変喜ばれるでしょう。

このほかにも風呂屋の中には「風呂屋シアター」があって、江戸時代の人々の暮らしぶりがよくわかるミニシアターの上映（このナレーションも桂米朝師匠です）が定期的に行われ、人形屋の暖簾をくぐると中は「ミュージアムショップ」が営まれていたりします。ミュージアムショップでは大阪くらしの今昔館の記念グッズや大阪の伝統銘菓や古地図、名所絵葉書などが置かれていますので、お土産をお買い求めのさいは要チェックです。

「今昔館に初もうで－お正月のむかし遊び－」を楽しむ

人形屋の縁台にはすでに「けん玉」などの玩具が並んでいました。日曜、祝日では町屋衆の方のパフォーマンスも楽しめます。

お正月特別イベントの「今昔館に初もうで－お正月のむかし遊び－」（2007年1月4日～1月8日）は、この9階「なにわ町屋の歳時記」フロアで開催される予定で、大通り・町屋座敷・風呂屋にて「けん玉」「羽根つき」「独楽」「からくり玩具」「福笑い」「将棋」「カルタ」「百人一首」「双六」などに参加（すべて無料）できます。

また1月4日（木）～8日（月・祝）には「町屋ツアー」で大阪くらしの今昔館スタッフによる楽しい解説つきで町屋巡りが可能なほか、1月5日（金）には「からくり玩具を作ってみよう！　紙つばめワークショップ」（13:30～、15:00～の2回。先着順各20名、材料費300円）、1月6日（土）「町家で書初め」（13:00～15:30 まで。先着順30名。参加費無料）、1月7日（日）「町家寄席」（14:10～15:10。出演・林家小染「あくび指南」、林家染太「つる」）、1月8日（月・祝）「琴の演奏会」（14:10～14:50。出演・澤千左子、邦楽琴座、飛天。演目「春の海」「十日戎」「おおさむこさむ」「雪やこんこん」「とおりゃんせ」）、日曜日、祝日には「町家衆による町家ツアー」といった企画イベントが連日、催されますので、ぜひご家族そろって参加してみてください。

1p 「展望フロア」を楽しむ
2p 「なにわ町家の歳時記」と「今昔館に初もうで－お正月のむかし遊び－」を楽しむ
3p 「モダン大阪パノラマ遊覧」を楽しむ
4p 「大阪くらしの今昔館」スナップ集vol.1
5p 「大阪くらしの今昔館」スナップ集vol.2