既婚者も要チェック、避妊とピル(オーシー)の関係
前項で女性ホルモンの量を調節する作用があるとお話しましたが、では、なぜピル(オーシー)を飲むと避妊ができるのでしょうか。それは、2つの女性ホルモンが脳下垂体に働きかけ、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の分泌をおさえるからです。
それにより、卵巣にある卵胞は成熟せず、排卵がおこらなくなります。
「『子どもはできるだけたくさん!』が理想だけど・・・」(Photo by Keisuke Shirasaka) |
あわせて、子宮内膜を受精卵が着床しにくい状態にしたり、子宮頸管の粘液を変化させて精子を子宮に入りづらくしたりする働きもありますので、妊娠を防ぐことができるのです。
飲み忘れさえなければ、ほとんど完璧に避妊ができること、また男性主体でなく女性主体でできる避妊方法という点が大きな特徴です。
この避妊という問題、最近のデキ婚ブームで注目されている未婚者やローティーンだけのものではなく、実は既婚者にとっても大きな課題です。
といいますのも、避妊をしない結果の望まない妊娠の処理として人工妊娠中絶という選択肢をする既婚者も決して少なくないからです。
厚生労働省の調査によれば、人工妊娠中絶の件数は1980年代をピークとして全体の数は減少傾向にあるものの、2006年の人工妊娠中絶数は276,352件で、実施率は9.9%、対出生率でみると25.3%にのぼり、決して少ない数字ではありません。
年齢層別に実施率を見ると20~24歳の19.2%を筆頭に、25~29歳が14.6%、30~34歳が12.1%、35~39歳が10.0%、40歳~44歳でも4.5%あります。
この統計では既婚者と未婚者に分けた数値はでていませんが、年齢的に婚姻者が多い年代でも人工妊娠中絶は行われていることが、はっきりお分かりになると思います。
経済的、社会環境的にも子育てがしにくいこの時代、既婚者にとっても望まない妊娠を避けるための「きちんと避妊」の意識は不可欠です。
男性側の意識としてのコンドーム使用とあわせて、女性側でもIUD(リング)やピル(オーシー)の使用も真剣に検討されるべきなのではないでしょうか。
→次ページはピル(オーシー)の意外な効果に注目です。
ガイドの最近の記事と関連記事