妻がアルコール依存症だと気づいた時
ふつうの夫婦にも忍び寄るアルコール依存症結婚生活、長く続けているとやっかいな問題も起こりえます。
あなたの奥さまがキッチンドランカーだとわかった日、あるいはご自分がそうだと気づいた日、どう対処すればよいか、精神科の最上悠先生に適切なアドバイスをうかがいました。
「家庭内ストレスをためた妻にお酒の誘惑・・」photo by 白坂桂輔 |
○アルコール依存症の定義 原因
ガイド(二松):
アルコール依存症という言葉を一般的に聞きますが、これはどういう症状のことですか?
Dr.最上:
アルコールの問題というと、アル中(=アルコール中毒)という言葉が一般的でしたが、WHOが1964年にアルコール依存症という言葉を提唱するようになりました。
依存症というのは、あること(もの)をやめられなくなってしまい、人間関係や社会生活に支障を生じたり、体を壊すようになっていく病的状態を示します。
依存は、主に、精神的依存(ココロが依存してしまう)と身体的依存(体が依存体質になってしまう)に分けられ、アルコールはそのどちらにも依存作用があることがわかっています。
医学的な意味でのアルコール依存症というのは、簡単に見極める方法としては連続飲酒・アルコール離脱症状 のふたつがそろった状態と考えられています。
連続飲酒というのは、昼間から飲んだりするような状態です。 昼夜問わず、連続的に飲んでしまうのですね。やめられないわけです。仕事に行っているから安心などと思っていても、職場でこっそり昼間から飲んでいる人もけっこう多いと言われますから、安心できないわけです。
アルコール離脱症状というのは、「禁断症状」みたいなもので、お酒がないとイライラが出たり落ち着かなくなったり夜に眠れなくなってしまう、といった精神的なものや、手が震えたり、ドキドキしたり、気持ち悪くなったり、汗をかくといった体の症状で出る場合もあります。こういう離脱症状は、再びお酒を飲めば一時的に楽になりますので、離脱症状を減らすために迎え酒のようにアルコールを口にするといった悪循環に陥りやすく、それが病状を悪くするのですね。
ですから、毎晩晩酌でビール1本を飲まないといられない程度の人は、依存症とまでは呼ばないわけですが・・。しかし、そこまで行かなくても、酒で人に迷惑をかけだしたり、仕事に支障が出たり、体を壊しているのにそれでもお酒を減らせないという問題が出現する状態であれば、それはアルコール乱用という言葉で説明されます。
よく毎晩、居酒屋に通っていつも泥酔して帰宅する夫などというのは、依存症ではないのですが、これはアルコール乱用ということになりますね。
ただ、アルコール乱用は、依存症のはじまりですから、最近は「プレアルコール依存症」とも専門的には呼ばれ、その後依存症に進んでいく可能性は高いため注意は必要だと考えられてきています。