技術の壁を越えた第2世代ブルーレイ
しかし、東芝がはじめてのHD DVDレコーダー「RD-A1」を発売した年の末に登場した第2世代のブルーレイレコーダーは、カバーを持たないベアメディアを実現し、さらに2層化を果たしていました。つまり、第2世代ブルーレイは東芝の予想外に進化していたわけです。
■第2世代ブルーレイ進化の意外なキー
第2世代のブルーレイメディアのベアメディア化を実現したのはメディアの表面を強固にカバーするスーパーハードコート技術です。このスーパーハードコートは、帯電しにくいという特性も持っていて、ホコリの付着も防ぐことができます。
BDA参入企業の1つTDKは、スーパーハードコートのパイオニアとも言えるメーカーで、ブルーレイメディア以前にDVDにも「超硬」という「DURABIS」スーパーハードコートメディアを発売しています。それはワイヤーブラシで表面をこすってもデータが読めるという驚異的な強固なものです。
そして、特にアピールはしなかったものの、実は第1世代のTDK製BD-REメディアにはすでにスーパーハードコートがほどこされており、ケースがすでに不要だったといいます。
第2世代ブルーレイが、驚異的な進化ができたのは、ブルーレイに参入している企業が数多く、それらの開発力があったればこそなのでしょう。
■ブルーレイ第2世代を実現したものは?
東芝がブルーレイに対して、弱点としてあげていたものが覆ったとき、実はその時点で東芝の勝利に続く方程式は崩れていたわけで、負けていたのかも知れません。
しかし、その第2世代ブルーレイの開発は実に高い壁だったと思います。それはソニーが第2世代の最初のブルーレイレコーダー「BDZ-V9」「BDZ-/V7」を出したとき、2層対応ドライブを搭載していなかったことからもうかがえます。
ブルーレイの勝利の原因が、この東芝が不可能とも考えた高い壁を越えたときに得られたのだとしたら、僕はそこに不可能を可能にする日本人伝統の「物作りの心」を感じざるを得ません。
次ページでは次世代メディアの条件とは何かを考えてみます。