東芝がブルーレイに勝算があると考えた理由
この1年程度の話をすれば、そんな情勢であるわけですが、もっと時間をさかのぼって考えてみると、また少し違うことがみえてきます。
ブルーレイはごく最近にできたものだと思っている人もいますが、実は一昨年から登場したソニー「BDZ-V9」などのブルーレイ機器は規格として第2世代のものです。はじめてブルーレイ機器が登場したのは、今から5年前の2003年のソニー「BDZ-S77」のことです。これらが第1世代のブルーレイ機器なわけです。
第1世代のブルーレイではメディアがカートリッジに入っており、記録層は1面タイプのみ。そして、書き換え型のBD-REしかメディアタイプがありませんでした。
■第1世代ブルーレイの課題
この当時のブルーレイメディアがケースに入っていたのには理由がありました。極限までビームスポットを小さくして記録密度を上げるため、ブルーレイのメディアは保護層の厚さがDVDの0.6mmに対して、わずか0.1mmしかなく、表面にキズがついた場合、それが容易に記録層を破壊してしまう可能性があったためです。また、記録密度の高さから、表面にホコリが付着すると、読み取りエラーが発生する可能性があるため、カバーはかかせなかったのです。
そして、この極端に薄い保護層ゆえに多層化(複数の記録層を持つこと)が難しいのではないかと言われていました。
■東芝が考えた勝算
東芝はこれらのポイントを指して、「カバーつきではメディアとして扱いにくい」、「カバーつきメディアが普及したことはない」、「ブルーレイは多層化を実現できない」などと指摘していました。これに対して、HD DVDメディアはDVDと同じく0.6mmディスクを貼り合わせたものなので、記録層の保護も問題ないし、多層化も難しくないとしていました。ブルーレイと比較して、極端に高度な技術を使っていないので、コストが高くならないことも強調していました。
これらが東芝がブルーレイに対して考えた勝算なわけです。
次ページでは第2世代ブルーレイの進化について紹介します。