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愛人に全財産を譲る遺言なんて許せない!(2ページ目)

亡き夫が愛人に全財産を譲り渡すという内容の遺言をのこしていました。長年連れ添った家族ではなく、つい最近知り合ったばかりの若い女の子に全財産を譲り渡すなんて絶対に許せません。なんとかなりませんか?

酒井 将

執筆者:酒井 将

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遺留分を主張しよう!

遺留分を主張しよう!
遺留分を主張すれば、法定相続分の半分は確保できます。遺言を無効だというためには、遺言が公序良俗違反だと主張しなければなりません。
遺言があっても、遺留分を主張すれば、遺産の一部を確保できます。すなわち、相続人のうち、兄弟姉妹(甥・姪も含む)以外は、遺言にかかわらず、最低限確保することのできる遺産の割合を有しています。これを遺留分(いりゅうぶん)といいます。そして、妻及び子の場合、遺留分の割合は、法定相続分の2分の1です。ですから、あなたは、遺留分の主張をすることにより、法定相続分の半分までは遺産を確保することが可能です。

ここで注意するべきなのは、遺留分の主張は、相続が開始し、遺言の存在を知って自分の相続分が遺留分を超えて侵害されていることを知ってから1年で消滅時効にかかってしまうことです。ですから、遺留分の主張が消滅時効にかかってしまう前に、相手方である愛人に対して、配達証明付内容証明郵便にて通知するなど、証拠の残る方法により、遺留分の主張をしておく必要があります。

不倫な関係の場合は?

また、不倫な関係にある愛人に対して、財産を贈るという内容の遺言は、「公序良俗(こうじょりょうぞく)に反して無効」とされる可能性があります。つまり、ご主人の遺言が、愛人との不倫関係の維持継続を目的としてなされたのである場合には、その遺言は無効となります。しかし他方、ご主人の遺言が、晩年を連れ添った愛人の生活を維持保全するものであるような場合には有効です。結局のところ、愛人への遺言が有効か無効かは、ご主人が遺言を書いた目的などの諸事情から判断されることになります。

もし、遺言が無効とされた場合には、あなたは法定相続分にしたがって、ご主人の遺産をゆずりうけることができますが、有効とされた場合には、遺留分の範囲でしか、相続分を主張することはできません。

<関連リンク>
・遺言がないため愛する妻が家を追い出される

・遺言書の内容は絶対なの?
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