プロポーズした後で、「やっぱりやめた」なんて撤回したら、相手の女性から損害賠償を請求されかねません。男なら自分の言葉に責任を持たねばいけませんね。今回は、私のところに寄せられた相談を例に、婚約破棄について解説してみます。

両親の反対で婚約破棄?!

両親の反対で婚約破棄?!
彼の両親に反対されて婚約を破棄されるなんてショックですよね。そんなときは彼から両親に反論してほしいものです。
私は学生時代から長年交際していた彼からプロポーズを受け、婚約指輪ももらいました。

二人で「結婚式には誰を呼ぼうか」「式場はどこにしようか」と相談したり、ウェディングドレスを見に行ったりして、幸せな毎日を実感していました。

ところが、ここ数ヶ月、彼はあまり結婚の話題を口に出さなくなり、特に最近は、私が電話をかけても電話に出ないばかりか、折り返しもしてくれない状態になっていました。

そして先日、彼から婚約を一方的に破棄されたのです。私は一体何がどうなったのか全く理解できませんでした。

どうしても納得できなかった私は、嫌がる彼から無理やり理由を聞きだしました。彼によれば、両親に私との結婚を猛烈に反対されて、両親の言うことを聞かざるを得なかったというのでした。

そして、挙句の果ては、両親のセッティングしたお見合いで知り合った女性と既に入籍してしまったというのです。私は許せないので、彼に損害賠償を請求したいのですが、可能でしょうか? また、可能なら、いくらくらい請求することができますか?

婚約ってどういうときに成立するの?

婚約ってどういうときに成立するの?
婚約は口約束でも成立しますが、それは真剣な約束である必要があります。婚約を証明するには、婚約指輪などの証拠が重要です。
婚約とは、将来結婚しようという男女の約束をいいます。

婚約の成立には、特にこれといった方式は必要ではなく、口約束でも成立します。といっても、口約束だけでは、婚約が成立していることを後から証明することは困難なので、なんらかの証拠が必要になってきます。

婚約が成立していることの典型的な証拠としては、婚約指輪や結納の交換があったこと、お互いの両親への挨拶、食事会などを済ませていること、などがあげられます。

ご相談の件では、彼と婚約指輪を取り交わしているということですから、婚約の成立は証明できるでしょう。

婚約の効果ってなんだろう?

では、婚約することによって、お互いにどのような義務を負うのでしょうか?

婚約した男女は、誠実に交際し、結婚を成立させる努力義務を負います。もっとも、これは努力義務に過ぎないので、一方がこの義務に違反して婚約を破棄した場合、相手に義務の任意の履行を求めて調停の申立てを行うことはできますが、裁判を起こして「結婚しろ」と命令することはできません。

このように、婚約があるからといって、結婚を強制することができない理由は、相手に結婚する意思がなくなってしまったのに、それを強制しても、円満な結婚生活など送れないからです。

したがって、ご相談の件では、お見合いで入籍した彼を無理やり別れさせて、自分と結婚させるなんていうことはできません。

婚約破棄で損害賠償はできる?

婚約破棄で損害賠償?!
正当な理由なく婚約を破棄すると相手から損害賠償請求をされることになります。
結婚を強制できないとはいえ、婚約者としての義務を怠って婚約を破棄した者は、「正当な理由」がある場合を除き、相手に対して損害賠償しなければなりません。

「正当な理由」の具体例としては、相手の不貞行為、相手に愛人や子どもがいた、相手の性的異常・性的不能、婚約後の暴力・侮辱行為、相容れない信仰をもっている、決定的に性格が違った、などがあります。

逆に「正当な理由」として認められないものとしては、家族の反対などがあります。

ご相談の件では、どうやら彼の家族の反対により、婚約を破棄されたとのことですから、あなたは彼に損害賠償ができるでしょう。

損害賠償(慰謝料)はいくら?

では、婚約破棄による損害賠償の金額はどの程度でしょうか?

婚約破棄による損害として考えられるのは、
  •  
  • 財産的な損害賠償
結婚式場のキャンセル料、無駄になった結婚支度金、仲人への礼金、結婚のために退職した場合の辞めなければ得られた給料など
  • 精神的な損害賠償
いわゆる慰謝料、つまり、心の痛みによる精神的な損害を償うものです。慰謝料の額は、婚約期間、婚約破棄の理由などを考慮して決定されます。破棄の理由については、すでに妊娠していて中絶をともなった、相手が不貞をしていたなどの場合には、慰謝料も高額になります。とはいえ、離婚の場合と比べると、全般的にやや低額になることが多いでしょう。

婚約は慎重に!

このように、婚約も立派な契約ですから、婚約破棄は、契約違反として、損害賠償の対象になります。たいして結婚する気もないのに、ついついその場の雰囲気で「結婚しよう!」などと返事をしていると、あとあと損害賠償を請求されかねません。「やっぱ辞めた」では済まされないのです。ですから、相手を悲しませないためにも、結婚の話には、誠実に対処するようにしましょう!

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・恋愛と婚約、浮気の罪に違いはある?(婚約前編)
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