アカデミック・ハラスメント
大学はコミュニティが狭く、教授に権力が集中しているためセクハラが起きやすい環境にあるといえます。セクハラだと感じたらすぐに相談するようにしましょう。 |
指導教授から、交際相手のことなど、プライベートな質問を繰り返されたり、食事に頻繁に誘われたりして、それが不快であったり、負担に感じるようであれば、それは紛れもなくセクハラです。不快に感じた時点で断ることができれば問題ありませんが、この相談者のように、断れないというケースは多いようです。
大学において、こうしたアカハラが起こる大きな理由は、教授に多くの権力が集中しているという事情によります。教授は、学生に対し、指導したり教育したりする権利を持っており、また助手や助教授に対しても、教授の意向で研究内容が決まったり、人事異動がされたりします。大学の事務職員に対する人事権も握っており、大学内での教授の権力は絶大といえます。
そのため、教授の中には、露骨に「君には今度の学会で論文を発表させてあげよう」とか「君をどこそこの研究機関に紹介してあげよう」などと甘言をもちいて性的な誘いをするケースがあり、これを学生が拒否すると、その後全然指導をしてくれなくなったり、研究テーマをもらえなかったり、今までの態度をひるがえし、研究内容について罵倒される、などの不利益をこうむるケースがありえます。
どう対処すれば良い?
このようなアカハラを受けた場合、どう対処するべきでしょうか。最近は、大学内でもアカハラの問題意識が高まり、セクシャルハラスメント相談室を設置している大学も数多くあります。そこで、まずはこれらの相談室に相談に行くことが良いでしょう。相談員は、セクハラの専門相談員であり、大学からフリーな立場で、かつ守秘義務を負っていることがほとんどですから、安全に相談することができます。また、アカハラを受けた方の多くは、心の傷を負ってしまっていることがあるので、その場合には適切な治療やカウンセリングを受ける必要があるでしょう。
裁判例は?
セクハラやアカハラの被害者は、加害者に対して損害賠償請求をすることができます。裁判例としては、以下のようなものがあります。加害者である助教授が、被害者に対して、約2年にわたり、当初は性的冗談にはじまり、しだいに性的接触を図るなど行為をエスカレートさせ、ついには合計3回にわたって肉体関係を結ばせ、その後、被害者が加害者に距離をおいてほしい旨を申し出ると、今までの態度を一変さえて締め切り間近の論文の書き直しを命ずるなどし、その後も被害者に不快感を与える行為を続けたというケースで、裁判所は、加害者が被害者の私生活および研究教育環境の平穏を害し、その結果、被害者の人格権を侵害したとして、750万円の慰謝料を支払うよう加害者に命じた。
【関連記事】
・しつこいセクハラ! これって大罪?