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試用期間中に解雇されてしまいました・・・(2ページ目)

試用期間だからって社長の気分でクビにされたらたまりません。今回は、入社後わずか1日で解雇を言い渡されたというケースを想定してみました。会社には、いったん雇った従業員に対して責任が発生するのです。

酒井 将

執筆者:酒井 将

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試用期間とは?

暴力を原因とする離婚
試用期間といえども会社は自由に従業員を辞めさせることはできません。ですから、不当解雇には、泣き寝入りしないで断固戦いましょう!
会社としては、面接を重ねて労働者を採用しても、その従業員の実力等などをすぐに判断することはできませんので、採用後の一定期間に、その従業員の人物や能力を評価して、正社員として採用するかどうかを判断することができます。これを試用期間といいます。試用期間については、3ヶ月の期間を設ける会社が多いですが、特に決まりはありませんので、6ヶ月の期間を設ける会社もあるようです。

試用期間中、会社は自由に解雇できるのか?


では、試用期間中、会社は雇った従業員を自由に解雇できるのでしょうか?試用期間が、従業員を社員として本採用するか否かを自由に判断できる期間であるとすれば、「秘書として気配りが足りない」という会社の言い分も通用しそうに思えます。

しかし、試用期間中であっても、裁判例では「客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合」でないと、解雇は認められないとされています。

そうすると、ご相談のケースのように、わずか1日の勤務だけで、秘書としての能力に欠けるなどと即断してしまっているケースでは、解雇するための客観的に合理的な理由が存するとはいえないでしょう。会社としては、ある程度の期間、きちんと指導をしながら、仕事ができるかどうか様子を見る必要があるといえます。

したがって、ご相談のケースでは、会社の解雇処分は無効となりますから、ご相談者が辞めなければならない理由はありません。

でも、いまさら会社に戻れないよ・・・


さて、解雇が無効で、引き続き従業員としての地位を有するとしても、いったんクビだと言われた会社に居続けるのはとても気まずいですよね。こういう場合、弁護士が入ったうえで、一定の金銭的な補償をしてもらって会社をやめるというケースがほとんどです。

たとえば、裁判所の労働審判などで提案される補償額は、だいたいお給料の3ヶ月分から10ヶ月分程度であることが多いです。また、ご相談者のケースでは、引越し代も会社に負担してもらえる可能性が高いといえるでしょう。ですから、泣き寝入りせずに、弁護士に相談しに行くべきです。

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