別れた妻が子どもに会わせてくれない場合は?
どうしても子どもに会わせてくれない場合にはなす術がありません。せいぜいお金をとれるくらいです。しかしだからといって、無理に子どもを連れ出したら犯罪になります。 |
では、調停や審判で、あなたが子どもに会えることが認められたにもかかわらず、元妻が約束を破って子どもを会わせない場合はどうなるのでしょうか。
こんなとき、あなたとしては、裁判所に「履行勧告」をお願いすることになります。履行勧告は、裁判所があなたに代わって、子どもに会わせるよう別れた妻に促すという手続です。裁判所からの「履行勧告」によっても、別れた妻が子どもに会わせてくれない場合には、「強制執行」をするしかありません。名前だけを聞くと子どもにも危害を加えかねない、何か恐ろしい方法のように感じます。しかし、あなたの元に、無理矢理、子供を引っ張ってくるというわけではなく、裁判所が別れた妻に制裁金を課すという方法により、心理的に強制するだけです。たとえば、審判で、子供と月1回会わせることを決めたのに、別れた妻が無視した場合に、裁判所が「面談1回分の不履行について、金○万円を支払え」という形で、別れた妻に命令するのです。これにより、元妻は子どもをあなたに会わせないとお金を払わなければなりませんから、心理的にプレッシャーを受け、子どもをあなたに会わせることが期待できるというわけです。
とはいえ、調停や審判での決定といえども、子どもを会わせることの、直接的な強制力はありません。したがって、別れた妻が意地になって子どもに会わせてくれなかったら、どうしようもありません。
なお、別れた妻を相手に慰謝料等の損害賠償請求をすることもできます。ただし、この方法は、別れた妻が長年、子供に会うのを妨害し続けたような特殊な場合だけに限られます。また、この方法も、お金を請求できるというだけで、子どもと直接会うことにはつながりません。
以上のように、別れた妻が意地になって子どもに会わせてくれなければなす術もありません。こんなとき、子どもの登下校を待ち伏せして、子どもを連れ去るという実力行使に出てしまう父親がいます。これは絶対にやってはいけません。実の父親であっても誘拐犯になってしまいます。未成年者略取誘拐罪という立派な犯罪ですから、くれぐれも注意しましょう。
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