クレジットの支払いを止めるためには?
着物の売買契約とクレジット契約は別個の契約ですが、クレジットの支払いをストップさせることは可能です。泣き寝入りしないで、弁護士に相談してください。 |
まず、クレジット契約自体を成立させない方法があります。クレジット契約では、契約書にサインした翌日か、翌々日に、クレジット会社からご自身の電話に本人確認の連絡があります。この電話において、「解約したい」と回答すれば、クレジット契約は成立せず、着物の売買契約自体も成立しないことになります。これは、クレジット契約約款に根拠があります。
しかし、ご相談のケースのような大規模な展示会販売では、クレジット会社の従業員が会場に同席し、その場でクレジット契約の本人確認手続きをしてしまうので、上記の方法が使えないことが多いです。
では、そのような場合には、どうやってクレジットの支払いをストップさせれば良いでしょうか。この場合、まず、クレジットの支払いの根拠となっている着物の売買契約を解消し、それを理由にクレジット会社への支払いを拒否することになります。
クーリングオフと消費者契約法による取消し
着物の売買契約を解消する方法として、まず、クーリングオフがあります。近年、着物の販売では、こうした強引な売り方がしばしば見られます。常設ではない仮設の展示会場などで商品を販売するこうしたやり口を「展示会商法」と呼びます。展示会商法では、販売業者の強い勧誘によって、消費者が受け身の立場となってしまうことが多く、この点で訪問販売と状況が似ています。そのため訪問販売などの場合に適用される特定商取引法という法律が適用されて、クーリングオフが可能である場合が多いです。ご相談の件でも、クーリングオフが可能です。クーリングオフが可能な期間は、法定の記載事項を充足した書面の交付を受けてから(通常は契約書)、8日間とされています。<書面の交付がなかったり、書面に記載事項の漏れがあった場合などは、この期間は進行しませんから、いつでもクーリングオフをすることができます。次に消費者契約法に基づく取消しがあります。
客が「買いたくない、その場から帰りたい」などの意思表示をしているにもかかわらず、事業者が客を帰らせずに、強引に契約を迫り、客が購入してしまったような場合、6ヶ月以内であれば、消費者契約法に基づき、その契約を取り消すことができます。したがって、ご相談のケースでも、契約を取り消すことが可能です。
以上に述べたクーリングオフや消費者契約法による取り消しなどにより、着物の売買契約が解消すれば、代金の支払義務はなくなります。代金の支払義務がないことは、クレジット会社に対しても主張できますから、その後は、クレジット会社に対する毎月の支払いに応じる必要もありません(割賦販売法30条の4)。