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埋蔵金を見つけたら誰のもの?(2ページ目)

日本全国には数々の埋蔵金伝説があります。なかでも徳川埋蔵金は特に有名で、テレビ番組や雑誌などで何度も取り上げられてきました。では、本当に埋蔵金を発見したら自分のものになるのでしょうか???

酒井 将

執筆者:酒井 将

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報償金がもらえますからきちんと警察に届けましょう。そうしないと一銭ももらえないどころか、犯罪に問われてしまうこともあるのです!

埋蔵金は警察に届けよう!

もしも、あなたが埋蔵金を発見したのなら、道端でお金を拾ったときと同じように、すぐに警察に届けなければなりません(遺失物法4条)。

万が一、あなたが埋蔵金をそのまま持ち逃げしてしまうと、占有離脱物横領という罪に問われ、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料に処せられてしまいます(刑法254条)。

また、埋蔵金を見つけてから1週間以内に警察に届け出なかった場合には、後に述べる報労金をもらえる権利が消滅しますから注意が必要です(遺失物法34条)。

所有者が名乗り出た場合

では、警察に届け出られた埋蔵金はどうなるのでしょうか。

警察は、埋蔵金が発見された日時、場所、埋蔵金の特徴などを6ヶ月間公告します。そして、6ヶ月以内に埋蔵金の所有者が判明した場合には、埋蔵金を発見した人は、埋蔵金の価格の5%~20%分を報労金としてもらうことができます(遺失物法28条)。これは落し物を拾った人が落とし主からもらえる報労金と一緒です。

しかし、ほとんどの場合、埋蔵した本人はすでに亡くなっていますから、所有者とは埋蔵した人の相続人ということになります。実際のところ、埋蔵金は誰が埋蔵したのかを証明することが難しく、また仮に誰が埋蔵したかがわかったとしても、名乗り出た人が埋蔵者の相続人であるかどうかを証明することもまた難しいですから、所有者が確定されるケースはほとんどありません。

所有者が判明しなかった場合

では、所有者が名乗り出なかったり、名乗り出た人はいたけれども相続人であると判明しなかったような場合にはどうなるのでしょうか。

民法241条によれば、「埋蔵物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後六ヶ月いないにその所有者が判明しないときは、これを発見した者がその所有権を取得する。ただし、他人の所有する物の中から発見された埋蔵物については、これを発見した者及びその他人が等しい割合でその所有権を取得する。」とあります。

つまり、この場合は、発見した人と埋蔵金が見つかった土地の所有者とで、埋蔵金の所有権を折半することになるのです。自分の土地で発見すれば埋蔵金を全部もらうことはできますが、他人の土地で見つけた場合には全部もらうことはできないわけです。

文化財だったら?

ところで、発見された埋蔵金が、歴史的に価値のある大判小判だったような場合、もしもそれが重要な文化財なら、文化財保護法により、その所有権は国に帰属することになります。もちろん、発見したあなたと土地の所有者には、国から相当の報償金が支払われることになります。

※本文の遺失物法の規定は、新法(平成19年12月10日施行予定)によります。
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