有責配偶者だからといって、まったく離婚が認められないわけではありません。 |
踏んだり蹴ったり判決
有責配偶者とは、夫婦関係を破たんさせる原因を作った夫婦の一方のことです。有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められないこととされています。というのも、自分で夫婦関係を破たんさせておきながら、破たんしたからといって離婚を求めることは、正義に反すると考えられているからです。この点について、最初に判断した最高裁判所の判決が、いわゆる「踏んだり蹴ったり判決」と言われるものです。
具体的には、妻以外の女性と同棲していた夫からの離婚請求について、
「もしかかる請求が是認されるならば、妻は俗にいう踏んだり蹴ったりである。法はかくのごとき不徳義勝手気ままを許すべきではない」
と判示されました。
判例変更
しかし、その後、最高裁判所は、従来の判例を変更し、一定の要件のもとで、有責配偶者の離婚請求も許されることを示します。その場合の一定の要件とは、以下のとおりです。
(1)夫婦の別居が両当事者の年齢および同居期間との対比において相当の長期間におよぶこと
(2)その間に未成熟の子が存在しないこと
(3)相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的にきわめて過酷な状態におかれる等離婚を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が存在しないこと
つまり、同居期間と比較して別居期間が長かったり、夫婦の間に小さな子どもがいなかったり、離婚により妻が過酷な状況に陥るとはいえない場合には、不倫夫からの離婚請求も認められるということです。
あなたの場合、別居期間が相当長期にわたるので、たとえ10歳の息子がいるにしても、夫から、それなりに今後の生活の保障がなされるのであれば、離婚の請求が認められる可能性が高いといえます。