シンプルライフ

アノニマスなデザインの「カゴ」と「箱」(2ページ目)

シンプルライフに似合うモノに共通するのは「用の美」。丈夫さ、使い勝手のために自然に出来上がったアノニマスなデザインを、りんごのふるさと・青森で見つけました。

金子 由紀子

執筆者:金子 由紀子

シンプルライフガイド

その2・りんごの木箱

りんご産地にお住まいの方、1950年代以前生まれの方以外は、なじみのない箱かもしれませんが、産地では今も、この箱でりんごが流通しているそうです。消費地に送られる時点で、りんごはきれいな段ボール箱に詰め替えられるため、産地以外の人が木箱を目にすることはありませんが、昔はこの箱で消費地まで届けられていたそうです。

深さがあるから、ベランダ菜園にもピッタリ
この箱、カッコいいと思いませんか? サイズは62×31×31cmとけっこう大きめ、両端に持ち上げるためのミミがあります。マツ材の無骨な箱ですが、一つもムダなデザインがなく、見ていてすがすがしい! 「シンプルライフ」読者にもファンの多いと推測される雑誌『暮らしの手帖』では、「1世紀7号」でこのりんご箱を使った子供の家具が提案されています。


木箱で家具?

2005年に東京の世田谷文学館で開催された『花森安治と「暮らしの手帖」展』では、りんご箱をいくつか組み合わせて実際に作られたその家具が展示されていましたが、とっても可愛いし、子供が喜びそう! って思いましたよ。現在でも、センスのいい人がいろいろな用途で活用しているそうです。

家具としてそのまま使うには、仕上げがされていないので、表面にやすりをかけたりしなくちゃなりませんが、たとえばベランダガーデニングのプランターとして、なんていう使い方もアリですね。プラスチックのものより断然美しいです。

これはやや年季がいったもの。新品希望の場合、業者さんに相談してみよう
ただ、この木箱、流通用・プロ用のものなので、産地の人でもなければ手に入れるのは至難のワザ。ただ、一つ手に入れる方法があります。それは、りんごの直販業者で、木箱入りを扱っているところを探すこと。ガイドはここで購入しました。ただし、一箱18~20kg(大玉のりんごでも50~60個)入りですから、毎日毎日食べて、ご近所にも配りまくりましょうね!


名もない人々の歴史

「作家物」「デザイナーズ物」ではなく、農作業や手仕事の長い歴史の中で、無名の使い手と作り手の間で、誰がともなく自然に決まったカタチ・規格、それが「アノニマスなデザイン」。いろいろな使い方ができて、とっても丈夫なのが共通点です。あなたの周りにもあるかもしれません。
 

*関連リンク*
  • 関連記事「小林さんファミリー りんごのある暮らし」……小林さんちにもありますね
  • 関連記事「シンプルライフを楽しむツール」……これまたアノニマスなデザイン
  • All About「レシピ」‥‥木箱で買ったあなたに…
  • 「まるごと青森」……青森のいろいろ。木箱について、とってもいい記事があります
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