◆機械の値打ちは“キロいくら”!?
何年か前、たぶんCDプレイヤーのような商品の宣伝コピーに、
「迷ったら、丈夫な方を買いなさい。」
というのがあって、感心しました。確かに、次々と売り出される似たような商品のなかから、たった一点を選ぶのに、わかりやすくていいコピーです。
だけど、どうやったら、丈夫だってことがわかるんでしょう?まさかあちこちぶつけてみるわけにもいかないし――そこで、さらにわかりやすい、機械モノを買うときの指標があります。それは、
「迷ったら、重い方を買う」。
身内にメーカー勤務の者がいて、製造現場の声を聞く機会が多いのですが、実際に機械を扱う職業の人たちに言わせると、機械は重さに価値があるのだそうです(すべてに当てはまるとは限りませんが)。重い=質のよい丈夫な部品をたっぷり使っている=丈夫で壊れにくい、直しやすいのですって。金属でできているものに関して言えば、“キロいくら”と考えてさしつかえないようです。
今、家電をはじめ、カメラも自転車も総じて軽量化の方向にあります。最近の電話機は、安いものだと、受話器をとると本体も引きずってしまうほどですね。昔の重い黒電話にはないことでした。これも、合理化と素材開発のお蔭なんでしょう。
しかしです。同じ機能で軽い機械を作るとしたら、部品の数はそう変えられないから、一つひとつの部品の重さを、少しずつ軽くする。軽ければそれだけ、耐久性は落ちる。また、工程をはしょって、本来は開く蓋を溶接して閉じてしまう。
そんな風にして軽くなった機械は、ややもするとすぐ壊れ、しかも直しにくくなりました。正確にいえば、直ることは直るけれど、新品を買うほうがいいくらい、コストや時間がかかるようになりました。
だから、直さないで、新しいのを買う。その方が、機能がたくさん追加されていて、お得でもあります。でも、そんなの何か変…。