寮滞在に関する基礎知識
サンフランシスコ郊外、大学内に寮があるDominican University of California |
前ページでは私自身の生活の一部を書き下ろしてみたが、ここで寮生活全般的なことを説明したいと思います。
●寮には何人くらい住んでいるの? 男子と女子は別々?
学校の規模や寮の大きさによって異なるが、小さい寮なら30人程度、大きいところでは500人以上が住める寮を知っている。男子寮、女子寮と分かれているところもあれば、男女両方が住んでいるところもある。その場合、フロアごと、ブロックごとに男女が別れている場合が多い。とくに男子禁制の規則はないところが多い。しかし、セキュリティのために自分のゲストは自分で部屋までエスコートするのが当然のルールになっているようだ
●設備はどんなものがあるの?
どんな寮でもセキュリティはしっかりしている。設便面では、大きい寮だとコンピュータルームやミュージックルーム、売店、ジムスペースがあるところも。小さい寮でも、ラウンジやランドリーなど、生活に必要なスペースはしっかり整っている。キッチンやバス・トイレは共同のところが多い。ただ、最近ではアパートのように部屋にキッチン、バス、トイレがついているところもある。ただし、これらの寮はそれなりに値段も高いことは当然だ。
また、夏季休暇など長期休暇の際に閉まる寮もあるので注意。
●学校の近くにあるの?
ほとんどの学生寮は、キャンパス内あるいはキャンパスに隣接していて、通学に便利な状況におかれている。ただし、キャンパスの移転などの事情で、離れている場合もあるから要注意。また、郊外都市の大きなキャンパスの場合は、通学に便利、さらに広くて住み心地のよい寮でも、街から離れていて買い物にはちょっと…… というケースもあることを覚えておこう。
寮生活の心得とは?
寮での生活を心地よく過ごすために、心がけておきたいポイントを紹介しよう。
●所有権について
まず、共同生活において「所有権」はないと考えよう。寮生活ではよくモノがなくなる。とくに共同冷蔵庫の中の食べ物や教科書、文具、洋服などなど。だんだん仲良くなると、冷蔵庫のバターを使うにしても「使っても良い?」と聞くのが面倒になって、「ま、あとから返せばいいか」と考え、無断で使ったり、事後報告なんてこともちょくちょく起きるようになる。たいていは問題にならないが、ちょっとした偶然と重なると大きな問題になる。例えば、使ってしまったバター。実はその夜、誰かの誕生日ケーキのために用意していたものだったらどうなるか? 発覚が夜遅くになってしまってケーキが焼けなくなってしまって大ゲンカ…… ということにもなりかねない。そんなときは人を責めても仕方がない。はじめから所有権がない、と思ってゆるすしかないのだ。一瞬心を静めてゆるした方が、その後の寮生活に支障はない。
●自己主張について
次に「自己主張」について。自分の意見をはっきりと伝えることが大切だという人もいるが、自己主張と人を責めたり怒ったりすることでは大きく違う。先ほどの例だと、主張すべきなのは、「誕生日ケーキを焼くのにこのバターを○月○日に使うので、誰も手をつけないで!」ということ。トラブル回避のために、人にやって欲しくないこと、あるいはやって欲しいことをわかりやすく伝えるのが共同生活においての「自己主張」といえるだろう。
●友だちについて
友だちができるか心配……という人も多いと思うが、各地から来たたくさんの寮生のなかに、きっと友達になる人がいるに違いない。とくに力を入れずに自然体で振舞うのが一番。じっくりと人と向き合って上手に付き合っていこう。ただ、友達を作るのは苦手という人が、友達に囲まれた生活をしたい! と考えるなら努力が必要。今の自分が「引っ込み思案」だったら、留学中の自分もやはり「引っ込み思案」だろう。環境の変化は、自分まで変化させてくれるものではないからだ。しかし、もし自分を変えたいと思うなら、変わるチャンスはいくらでもある。とくにいろんなタイプの人に囲まれる寮生活で、しかも過去の自分を知らない人たちの中なら、新しい自分に七変化してみるのもおもしろい。友達作りの上手な人のそばにいて、そのまねをするだけでもいい。ただ、その一歩を踏み出すのは自分自身。ちょっと勇気を出してチャレンジしてみよう。
●言葉の心配はない?
言葉が心配で、うまく自分をアピールできないかもしれない…… と不安な人は、そのために勉強しよう。語学研修にしても、漠然と教室で学ぶより、何か目標があったほうが、何倍も力が入るはずだ。
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