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ニュージーランドを旅している途中に、ひょんなことからGさんとAさん夫妻のファームにしばらく滞在させてもらったことがある。意図していたわけではなかったけれど、後から考えると絵に描いたようなファームステイ生活だった。
 
ファーム生活体験記!

「忙しいから、ちょっと手伝っていかないか? 明日は羊にイヤリングを付ける作業があるんだ

もちろん返事は"YES!"だ。きっとそのときGさんは、わたしたちにホンキで手伝ってほしいとは考えていなかったと思う。経験もなく、役に立たないことは百も承知の上で、初めて逢った日本人に親切心を起こしたに違いない。

ファームに着いたのは夜だったので、気がつかなかったのだけれど、翌朝起きてみると、見渡す限り羊牧場が広がっていた。敷地の一方は海に面している。緑の絨毯の中にちらちら白く見えるのが羊で、隣のファームとの境界は遥か彼方。びっくりするくらい広い土地に、何千頭もの羊がいるのに、家族経営(……とは言っても、子どもたちは小さくて、まだまだ労働力にはならない)だった。超多忙な時期だけは、手伝いに来てくれる人がいるらしく、ちゃんとした一軒の家が、季節労働者用に用意されており、そこに泊めてもらったのだ。

(C)ATC
Sheep station羊のイヤリングというのは、もちろん装飾用ではなく、生まれた年を色で判別するためのもの。逃げ惑う羊の群れを追いかけながら少しずつ移動させて、最後には柵に追い込む。それから羊を一頭ずつつかまえて、耳にホチキスのようなもので、ガチャンガチャンと留めていくのだ。

羊は近くで見ると薄汚れていて、お尻のまわりなんてすっかり緑色。でも、表面の毛をちょっとかきわけてみると、思わず「ウワーッ! 真っ白!」と声をあげてしまうくらいキレイな純毛がフワフワしていた。耳にイヤリングを付けられた羊は、恐る恐る柵から出て行き、自由になるとぴょこんぴょこんと飛び跳ねていた。

ちなみに羊を移動させるのは、小さくて賢い牧羊犬の仕事。Gさんは、後ろからバイクで追いかけながら、時折大きな声で指示を出すだけで、ものすごく上手に羊を移動させていく。羊は放っておくと、同じ場所の草ばかり食べているから、草の成長具合や日当たりなどを考えながら、今日はこっちの丘、明日はあっちの丘、とほとんど毎日移動させているのだそうだ。
 
 

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