「東洋」は日中で意味が違う単語
「手紙」のように日本と中国の両方に存在するけれど、意味が全然違う!という単語は、実際の会話の中で使うとすると、きっと話が全然噛み合わなくて、トンチンカンなやりとりになったり、あらぬビックリ!を巻き起こしたりすることでしょう。
※「手紙」の中国語の意味は「トイレットペーパー」です。
けれど中には、実際の会話の中で使った時に、割とスムーズに話が進んでしまいそうな、「似ているけど違う」単語も存在します。
会話としては成立してしまうけれど、お互い違う意味を受け取ってしまう危険性をはらんだ単語、今日は「東洋」についてご紹介しましょう。
中国語の辞書を引きながら
日本語の意味と照らし合わせてみると…?
世界をおおまかにカテゴライズする言葉として「東洋」「西洋」「中東」などの言葉がありますが、これらの単語は中国語にも存在します。
中国語の辞書でこれらの単語を引いてみましょう。おっとその前に、「西洋」「中東」「東洋」という言葉を見て、あなたなりに「だいたいあのへん」という見当をつけておいてください。
地理が苦手で地図がすぐに思い浮かばない!というあなたも、「だいたいあそこらへん」「なんとなくこんなイメージ」というのを考えておいてくださいね。
【西洋】[Xi1yang2]…指欧、美各国
いわゆる欧米ですね。これは日本語の「西洋」と同じといってよいでしょう。
【中東】[Zhong1dong1]
…指亜洲西南部和非洲東北部,包括近東和伊朗、阿富汗。
アジア制南部とアフリカ東北部、近東とイラン、アフガンを含む、とありますが、このへんのイメージも日本人の我々が思い浮かぶ地域と一致しているのではないでしょうか。
具体的な国名で思い浮かばなくても、暑くて石油や資源が豊富な地域…とかイスラム文化圏が多い…などのイメージで一致したことと思います。
それでは「東洋」を見てみましょう。
【東洋】[Dong1yang2]…指日本
中国語の辞書で【東洋】を引くと「日本を指す」と出ているのです。
同じ「東洋」という単語なのに、日本語と中国語では、中国語のほうが範囲が狭まってしまうのが面白いですね。
日本語の「東洋」はアジア全般のイメージ
中国語の【東洋】は日本限定
我々日本人にとっては、「東洋」=アジアというイメージがありませんか?
例えば「東洋人」という言葉から思い浮かぶのはどんな人でしょうか。
漠然と「アジア圏の人」というイメージがあるだけで、具体的にどこの国の人、とは思い浮かばないのではないでしょうか。
ですが、中国語の【東洋】とは日本をピンポイントで指します。
ここのところを理解していないと、会話の中でちょっとしたカンチガイが生まれる可能性があります。日本人の側が、中国人との会話の中で「私達(同じ)アジア人だよね」というニュアンスで「【東洋人】[dong1yang2ren2]という言葉を使っても中国人には「日本人」だけの話だと受け取られてしまいます。気をつけましょう。
日本語の「東洋」に相当する中国語は?
それでは、日本語の「東洋」に該当する中国語は何でしょうか?
そのものずばり「アジア」=【亜細亜】[Ya4xi4ya4]のほか
【東方】[dong1fang1]もそれに相当します。
【東方】は日本語と同じように「東のほう」という意味もありますが、その他に日本語で言うところの東洋」も意味します。
上海の有名観光スポットの名前をじっくり見てみると…?
【東方】という単語から、連想する観光スポットはありませんか?
そう、上海の名所【東方明珠】[dong1fang1ming2zhu1]です。
高さ467.9メートル!アジアで一番高いテレビ搭です。
(世界では第3位 2008年5月現在)
英語では「オリエンタルパールタワー」東洋の真珠というわけですね。
【東方】=アジアということをしっかり覚えさせてくれる存在感です!
※おまけですが「明珠」には真珠のほかに「愛しいひと」「大切なもの」という意味もあります。
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