都内で再び増加している被害
警視庁がまとめた、今年1月から8月末までの東京都内の侵入窃盗認知件数が発表されました。このうち、「ピッキング」と「サムターン回し」の被害が、昨年同期より40.5%も増加していることがわかりました。都内の各市区別被害件数の増減については警視庁の東京都の区市町村別刑法犯認知状況平成18年8月末データをご覧ください。「ピッキング」による被害は、平成12(2000)年にピークとなって、その後減少していました。平成15(2003)年に「ピッキング防止法」(ドア開錠に使用する特殊用具類の不当所持を禁止)が施行されたり、不法滞在の外国人を集中的に摘発したことなどにより、昨年平成17(2005)年は、ピーク時より半減していました。
下記の警察庁資料「ピッキング用具を使用した認知・検挙状況の推移」で、全国でも年々減少していることを数字で見ることができます。
しかしながら、ここにきて都心回帰現象とでもいうように都内で再び、被害が急増しているということになります。侵入盗そのものの認知件数は、昨年同期に比べて6.7%減少してはいるものの、「ピッキング」の手口によるものは前年同期(191件)より倍以上(425件)になっているのです。
しかも、被害が多発している地域にはある共通点があることがわかりました。
この地域が狙われている
都内でもっとも被害が増えたのが杉並区でした。渋谷、新宿、中野、練馬の各区のマンションで被害が相次いでいるほか、江東区などでも前年より増加しています。また、都下では町田市の増加が顕著です。減少した地域、微増している地域とそれぞれ違いますので、都内にお住まいの方は東京都の区市町村別刑法犯認知状況で確認してみましょう。従来からの住宅街で、狭く入り組んだ路地が多く車が入りにくいこと、防犯パトロールの目が届きにくいこと、などがあります。たしかに住宅街は人通りも少なく、おだやかな町並みが特徴的ですが、それだけ人の目がないということにもなります。多くの人が行き交う都心部に比べると、人の数が圧倒的に少ない点、路地が多いイコール曲がり角が多く見通しがきかない点などが、狙われやすい条件となっているようです。
こんな家が危ない
また、セキュリティ対策のなされた新しい物件が少ないという点も原因としてあげられるでしょう。住宅街では低層のマンションが多く、築年数のたった物件は防犯対策が十分になされておらず、たとえば錠前を見ても、ピッキングされやすい錠前をそのまま使っていることが多いようです。また、玄関ドアからの侵入だけでなく、玄関がダメなら窓からということで、窓ガラスを割って侵入するガラス破り、焼き破り(焼き切り)、突き破り(ドライバーなどで窓ガラスを割る手口)、などの被害も多く発生しています。
玄関ドアをピッキング対策の錠前にしてあるとしても、窓ガラスが、一撃のもとに割られてしまうような家は、いってみれば「頭かくして尻かくさず」の状態です。前から侵入できなければ後ろから侵入すればよい、という単純なことで、玄関には対策をしてあったとしても、窓の防犯対策ができていなければ、こちらから侵入されてしまうのです。
それでは、被害に遭わないためにどうしたらいいのか? 次ページでお知らせします。