オートロックへの甘さ
そもそも、日本のオートロックシステムは欧米に比べて甘いと言わざるを得ません。一緒に入ろうとする人に対して、「No!」と言う人はほとんどいないでしょうし、ときには、自分もそうして他人に便乗して入ることもあるでしょう。日本人は、「お互い様」の精神もあり、「和」を重んじるので、争いを好みません。たとえ、(ちょっとイヤだな)と思っても、(自分がやらなくてもほかの誰かがやるだろう)(このマンションの居住者か、用事のある人だろう)などと思うようにしているのだと思われます。これが、欧米のセキュリティのしっかりとしたところなら、「No! 私は自分で開けて入るから、あなたはあなたで自分で開けて入ってください」と言うものなのです。個人主義の徹底している欧米ならではということだけでなく、やはりセキュリティへの根本的な考え方に違いがあるのでしょう。日本では、セキュリティという言葉も概念も、まだ歴史が浅いということはいえます。
もちろん、最新のマンションなどでは、IDカード利用や何重にも敷かれたセキュリティゲートを通過しなくては入館できない、エレベーターも自宅階にしか止まらない、24時間の監視体制があるなど、ハイレベルのセキュリティ設備を誇る物件も出てきており、新築物件には特にセキュリティの充実が不可欠となってきています。
しかし、既存の物件においては、従来の4桁の数字入力によるシステムがまだまだ多いと思われます。多数の人が暗証番号を知っている建物、一緒に入ろうとする人を安易に入れてしまうような人が多い建物は、それだけ不審者侵入の可能性も高くなります。防犯監視カメラの設置状況等にもよりますが、誰か一人でも、建物への不審者の侵入を許してしまうと、居住者全員に危険が及ぶことになります。(一人くらい大丈夫だろう)という甘い考えは禁物です。
定期的に変更を
暗証番号は定期的に変更を |
また、利用者各自もその都度、覚える手間がありますが、わずか4桁の数字ですから、これくらいは自らの安全レベル維持のためと割り切って、覚えるようにしましょう。暗証番号を語呂合わせなどで覚えやすい番号にすることも、設定時に考えられるといいかもしれません。皆さんがご利用になっているオートロックの暗証番号の変更状況はいかがでしょうか。長期間、何年も変更していないようだと、今回のような事件を招きかねません。当たり前のようになっていて気づきにくいのが、共用の暗証番号の危険性なのです。
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