●太い指では電源が押しづらい!
起動時間は約2.8秒。このクラスでは標準的といえる成績だろう。
ただ、ひとつだけ気にかかる点があった。非常に電源スイッチが押しにくいのだ。
この起動時間の計測はだいたい十数回ていど起動を繰り返し、撮影ができるようになるまでの時間をストップウオッチで計測し平均値をとるというアナログ的な手法で行っている。
その際、実に2/3の確率でスイッチが入らなかったのだ。
かなり力をこめて、ぐっとスイッチを押しこまないとスイッチが入らないようになっている。
これは筆者の手が大きく、指も太めということもあるのだろうが、スイッチの感度に問題があるように思えてならない。
逆に荷物の中に入れておいても滅多なことではスイッチが入らないということでもあ
るので、これは利点として考えられるのでもあるのだが。
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これが問題の電源部分。筆者との相性であるとも思えるのだが……。
●軽快な撮影感触と、良好な使い勝手
1枚ごとの撮影インターバルは1.4秒ほど。なかなかの好成績だ。起動速度とあいまって、かなり軽快であるといえる。
ピントの合焦時間も短く、サクサクと撮れる感触がある。キヤノン独自の9点測距とAiAFはかなり精度が高く、使っていて気持ちがいい。
さらに9点測距の中でどこにピントがあっているか、液晶ディスプレイ上に緑色の枠で表示されるので非常に便利だ。
筆者が2匹の猫を撮っていたときに、その両方にピントが合ったことがあった。これはなかなか感動的ですらあった。その瞬間、「技術ってすごいなぁ」と純粋に驚いてしまったのだ。
液晶ディスプレイではどこにピントがあっているか、よくわからないことが多い。その点、IXY DIGITAL30では常に緑の枠が出てピントのあっている場所を知らせてくれるので、安心感がある。
この機能が搭載されていることは初心者ユーザーにお勧めできる強力なポイントであるといえる。
筆者は中央でのAFがやり慣れているのでそちらのほうが楽なのだが、こういった筆者のようなユーザーはIXY DIGITALを買ってもマニュアルモードを使うだろう。
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この撮影時、猫2匹に見事にピントがあった。技術力のすごさを知った瞬間である。モードはこのダイヤルで切り替える。基本的にはオートで撮影するデジタルカメラではある。
マニュアルモードといっても、ピントあわせなどをすべて決めていくというものではない。ここでのマニュアルモードとは、露出補正やISO感度などを変更できるモードのことで、フルオートではないモード……というくらいの意味だ。
IXY DIGITALというデジタルカメラの位置付けは、オートモードで撮影すべきものという設定がされていると考えるべきだ。
さまざまな設定があるに越したことはないが、そういったものがなくてもかなりきれいな描写ができる──これこそがIXY DIGTIALというものの購入層が求めていることだろうと思われる。
筆者はこれはこれでいいのではないかなと感じた。
●緑鮮やかDIGIC MAGIC
画像はくっきりとした描写傾向にある。全体の描写においても、発色においても同様だ。
特に緑の描写が美しく、植物を撮るのが楽しくなるほどだった。
他社の300万画素デジタルカメラと比較してもノイズも少なく、かなり良好な画像が得られた。
特にキヤノンのデジタルカメラがDIGICと呼ばれる映像エンジンを搭載してから、こういった傾向が強く出ているようだ。
筆者としてはきらいな描写ではない。
●このIXY DIGITALを買う人は誰?
IXY DIGITAL30はこれまでの資産を打ち捨てた、新しいようで新しくないIXY DIGITALである。
こうして考えるとこのIXY DIGITAL30の購入層が見えてくる。
いままでのIXY DIGITALユーザーではなく新たにIXY DIGITALを購入しようかと考えているユーザーに最適なのではないだろうか。
特にSDカードはこれからのコンパクトデジタルカメラにおいて、大きなシェアをしめると思われる。そういった意味も含めて、これまでの資産のなかった新規購入ユーザーにおすすめできるデジタルカメラである。
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・あまり小さくなっていない?
・使い勝手は非常に良好
・IXY DIGITAL 30 実写画像&スペック
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