街のいたるところには、障害をもった人々がハンディを感じないような配慮を見ることもできます。人々の心の中にも思いやりが根付き、気負うことなく手を貸したり、道をあけたりと、誰もが自然に動いていることに驚かされます。
この思いやりや、人へのやさしさを生み、育んできたのが、古代からハワイに息づく「アロハの精神」と呼ばれる独自の価値観です。バリアフリーの本題に入る前に、まずはこの言葉の背景からご説明いたしましょう。
アロハの精神が実現する、人へのやさしさ
ハワイならではの価値観が込められた「アロハ」。その精神は代々受け継がれて、文化の源となっています。(写真はアロハフェスティバルのパレードより) |
実はこのアロハ(aloha)という単語のアルファベットひとつひとつには、きちんとした意味が託されており、それらを複合した言葉として、とても深い意味合いを持って使われているのです。
■アロハ(aloha)の意味
a (akahai = やさしさ、思いやり)
l (lokahi = 調和と融合)
o (olu`olu = 寛大、柔和)
h (ha`a ha`a = 謙虚さ)
a (ahonui = 忍耐強さ)
(ハワイ州観光局ホームページ、小学館「いっそイラスト・ハワイ単語帳」参照)
人々が「アロハ!」と口にする時には、おだやかで満面の笑みを浮かべていますが、それはこのように、たくさんのポジティブな価値観が込められた言葉だからなのでしょう。
この言葉は、英語のHello(こんにちは)という意味だけではなく、別れ際にも「会えてとても嬉しかった」、「またお会いしましょう」、あるいは「お元気で」というような意味で使われることもあります。手紙文の最後も、「Aloha」で締められることも少なくありません。
このように「アロハ」という言葉に託された独自の価値観を、アロハの精神(英語ではアロハ・スピリッツ)と呼び、ハワイに住む人々が、代々、受け継いでいる大切な文化の源となっています。
ハワイにおけるバリアフリーも、法で規制された障害者への配慮という要素に加え、足腰の力が衰えたお年寄りや、視聴覚機能が弱った方々までの配慮を含む、自然な形の思いやりという形で広く認識され、根付いているようです。
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