イラストを通じたコミュニケーションを提案するpixiv
サービス開始419日で会員40万人を突破したpixiv |
ジャンル特定型SNSとして今、急激にユーザーを増やしているのがイラストを介してユーザー同士でコミュニケーションを楽しむSNS、pixivです。昨年9月のオープン以来、今年3月に10万人、6月に20万人、9月に30万人と順調にユーザー数を増やし、ついに今月2日に40万人を突破しています。今までのイラストの総投稿数は約200万枚で、先月のページビューは3億6,000万となっています。
基本的には自作のイラストを投稿したり、投稿されたものを評価、コメントをつけたりできるサービスです。ただこれだけであれば、mixiを始め他のSNSであっても同様のサービスはあります。では何故、pixivはこんなにも急激にユーザーを増やしているのでしょう?
pixivを実際に利用してみると、登録したばかりのユーザーでもすぐに理解し利用できるユーザーインターフェイス、イラストを軸としたさまざまな企画、そしてイラストを描かないユーザーでも楽しめる雰囲気作りなど、ジャンル限定型SNSの強みがいかんなく発揮されているのがわかります。
特にpixivの場合、イラストを介したコミュニケーションサービスなので、イラストが描けないユーザーは参加できないのではと思いがちですが、ITmedia Newsトのインタビュー記事によると、実際にイラストを投稿しているユーザーは全体の3割で、後の7割はイラストの閲覧や評価、コメントのみの、いわゆるROMオンリーのユーザーだそうです。
イラストを描けるユーザーは、より多くのユーザーに見て欲しい。またイラストが描けるユーザー同士でコラボレーションをして楽しむ。イラストを掛けないユーザーは自分の気に入ったイラストを見つけ、評価、コメントなどをして応援する。そして評価が上がればそのユーザーはまたイラストを描くモチベーションが上がる。つまりpixivは、それぞれのユーザーがイラストを軸にそれぞれの楽しみ方ができる雰囲気をとても上手く作り出しているからこそ、ここまでユーザー数が増えたサービスになったのでしょう。
次々と機能を進化させる語学習得SNS「iKnow!」
サービス開始後1年でユーザーが学習した語彙が2億30万に達した語学習得SNS「iKnow!」 |
昨年10月にオープンしたiKnow!は、特に大きな宣伝もなく、ネット上の口コミで着実にユーザー数を増やし続け、先月の時点で会員数27万人となっています。
iKnow!の特徴は単に無料で英語学習ができるだけではありません。ユーザー同士でコミュニケーションを図りながら勉強したり、ユーザーが作った単語帳を他のユーザーと共有できるなど、SNSの機能をフルに活用し、孤独になりがちな語学学習を多くのユーザーと競い、協力し合いながら学習できるようにした点です。
また、PCだけでなく、ケータイ、Wiiなどのゲーム機器などユーザーが好きな時にいつでも利用できるようになっている点も、iKnow!が多くのユーザーに支持を受けている理由の1つと言えます。
他にも、外部の英文サイトで和訳や発音を聞くことができるブックマークレットや188カ国の単語や例文を登録できるフリーインプットなど、ユーザーに飽きることなく学習できる環境の提供をしています。さらにはAPIの公開、ニコニコ動画に対応、アメブロにコンテンツを提供するなど、外部のサイトなどに積極的に情報を出していくことが、より多くのユーザー獲得に繋がっているようです。
ジャンル限定型SNSの課題は収益の確保
mixiやモバゲーなど通常のSNSに比べ、ジャンル限定型SNSの強みは、より明確な目的を持ったユーザーが集まる点です。そこでPixivやiKnow!のようにそのユーザーに便利なサービスを提供すれば、おのずと満足度が上がり、そのサービスを継続して利用するようになります。もちろん、ジャンル提供型SNSが必ずしも人気となる訳ではありません。ウェブカレ、Pixiv、iKnow!どれもユーザーのニーズを的確に掴んだ上で、そのユーザーがより興味を持つコンテンツを提供しているからこそ、人気となっているのです。
前述したインタビュー記事では、バナー広告や企業の協賛を受けた「公式企画」による収入は月300万円程度で毎月赤字が続いているということです。他のSNSにおいても必ずしも潤沢な資金の元に運営されている訳ではありません。今後は、広告だけに頼らず、有料のプレミアム会員を増やすなど、いかに収益を上げるかが重要となります。
PCでのネットサービスは、無料が当たり前となっている現在、ユーザーが納得しお金を払ってサービスを利用する文化を創ることができるか?ジャンルを限定し、より明確な意識を持ったユーザーを持つジャンル限定型SNSという形式は、実は全てのネットサービスが抱える大きな課題を解く大きなヒントとなっているのかもしれません。