口コミを利用した旅行サービスの台頭
ユーザーの需要に対し、より的確なサービスを提供するための方法として、口コミがあります。店頭での旅行予約とネットでの旅行予約の違いは色々とありますが、その中でもネットでの旅行の比較検討の際に便利なのは、膨大な量の口コミを読むことができるという点です。JTBではスタけんチャンネルとして、スタッフによる旅行体験談や、旅行業界としては初めての動画によるポッドキャスティングも提供しています。また旅行を軸としたコミュニティサイト、フォートラベルや、じゃらんなどの口コミのほか、レストランの口コミサイトと提携し、周辺のグルメスポット情報も併せて検索ができる 旅侍などの人気も高まっています。
ネットでは国内、海外問わず様々な旅行の口コミを見ることができます。 |
旅行に限ったことではありませんが、口コミを元にした情報の収集というのは、ネット上ではもう当たり前の行為になっています。フォートラベルやじゃらんなどでも十分に口コミ情報を得られることもあってか、前ページでのWebマーケティングガイドの調べでは、個人のブログ、SNSを参考にするというユーザーはまだまだ少数でした。しかし同時に旅行の体験談をネット上に上げたいと思った時の方法として、旅行のポータルサイトと並んでブログが1位となっています。
ほかにもHISとサイバーエージェントが組んで運営している口コミ型のブログサイト「旅ブロ」や、旅行日程自体を公開、共有できるTripTie(英語サイト)、Triplなど、ユーザー自身が積極的に自分の体験、プランを発信できるサービスが次々と始まっています。
今後は簡単な情報が欲しければポータルサイト、より多くの情報が欲しい場合はブログと、その時の旅行計画によって情報入手の手段を使い分けることが重要になってくるでしょう。
50代~60代の利用が今後の鍵となる
日経リサーチが今年2月に行った調査によると、団塊世代を含む50~60代では、今後ネットを利用する機会が増えると回答した人が4割に上り、その利用目的として「旅行や鉄道の予約」が4位になっています。リアルでも勿論ですが、今後はネット上においても時間とお金に比較的余裕があるこの世代をいかに獲得していけるかが、旅行サイトとして勝ち残っていくための鍵となりそうです。そういった意味からも旅行会社サイト、ネット専業サイトがそれぞれの強みを生かすだけでなく、高級志向や海外旅行需要に対応するため、サービスを拡充していく(=サービスの境目がなくなる)流れは必然ともいえます。
ネット上での旅行サービスは今後さらに激化していきます。そしてその勝敗を決するキーポイントとなるのは、単純にサービスを拡充していくということではなく、どんな旅行体験ブログ、口コミ情報が人気を得ているか、ということにヒントが隠されているのかもしれません。