何を求めてコミュニティに集まるのかが重要
株式会社 ハー・ストーリィ社長 日野 佳恵子氏 |
ではmixiなどの人が前面に出たコミュニティを利用した広告事業に関してはどう思われますか?
日野:
mixiなどのコミュニティというのは価値観共有サイトになっていますよね。基本的には人と人がつながっていますから。そこに例えばその コミュニティの中身に関連した広告を露出したりというのは効果はあると思います。
重要なのはコミュニティを利用している人の本来の目的はなんなのかということです。SNSに来ている人は人と人のつながりの拡大を求め ているわけです。つまりモノを買いたくてそこに集まっているわけではないですよね。購入が目的という時には物販サイトという場がありますから。
そういった意味ではコミュニティでの販促というのはパワーは弱いですよね。人と人のつながりの場で広告を行うというのは一定の効果は あるにしてもダイレクトではないと思います。
ガイド:
やはり何を目的に集まってきているかということが重要なわけですね。例えばバイク好きな人が集まっているコミュニティだからといって そこに集まっている人が全てバイクを欲しがっているというわけではないですものね。
日野:
そうですね。逆にバイクを買いたい人とバイク屋がきちっとマッチしたコミュニティで、バイクを買いたい人にバイクの情報を提供すると いう当たり前の筋を通さずに、ただのコミュニケーションに走るとバイクが売れなくなります。買いたいという目的の人にただのコミュニ ティを提供してもだめなんですよね。
企業のサイトにおいてコミュニティというのは購入が目的の人に対しての補完機能の1つであって、評価や買いたいという意識に対して、買った 人の評価であったり、使った人の体験を提供するのはいいのですが、それはあくまでモノを買うという意識に対する比較検討情報であって、 コミュニティやコミュニケーションとはちょっと違います。
たまたまバイクというお話が出ましたが、ハーレーダビットソンなどはいい例で、基本はモノなんです。でもオーナーズクラブというのが ちゃんとあって、結果として買った人同士が「一緒にツーリングに行きましょう」とか「近くでハーレーに乗っている人はいませんか」など といったコミュニケーションを図れますが、これは所有物共有なんですね。所有物共有のコミュニティと所有物のないコミュニティは違うんです。
企業名を出して運営するのか?出さずに運営するのか?
ガイド:企業がコミュニティサイトを運営する際に、企業名を出した方がいいのか、出さない方がいいのか、これもそのコミュニティの目的によって 変わってくると思いますが、日野さんの中で明確な判断基準というのはありますか?
日野:
あります。企業が運営するということは、基本的にビジネスです。ですからそのコミュニティを運営するためのパワーとコストに対して収支を取 りたいということであれば、企業名は出すべきだと思います。即効果、即対応が明確になりますから、これはもう通販ビジネスですね。通販 ビジネスをいかにファン化させていくかということです。
逆にコミュニティで企業名を出さない場合というのは、目的が、その企業が属する業界のイメージアップにしたい、お客様の価値観に情報 を提供したいという場合です。ただ、その結果として自社を選択して頂ければ嬉しいけど、もしかしたらほかの企業にお客様を取られるか もしれないという覚悟が必要です。
コミュニティというのは最終的に自社の商品を販売したいと思うのであれば、企業名を隠すといったような小細工はしない方がいいんです。 費用対効果が合わなくなりますから。例えば一万人の顧客に商品を販売したいと思ってコミュニティを運営して集客をしたら、人気を呼んで 百万人集まるかもしれませんよね。その百万人を維持するためのパワーのコストと実際に販売した商品を差し引きすると絶対に合わないんです。
ガイド:
なるほど、これほど明確な判断基準はありませんね。
<次回は女性が好むサイトとは?女性の口コミを呼び込むためには?など、ネットにおける女性の行動心理についてお伺いしていきます。>