今後のポータルに関して語る藤田氏 |
サイバーエージェントの媒体のポイントは「専門化」
ガイド:Yahoo! JAPANやライブドアのように、媒体としてポータルという選択肢があったと思うのですが、CAは逆に媒体を専門化して、いくつも創出なさっていますよね?
藤田:
ポータルサイトは、実は99年にオン・ザ・エッヂ(現ライブドア)と完全な50%:50%の共同事業で『あるあるネット』(ディレクトリ型の検索サービス)というのを立ち上げたんですよ。
『あるあるネット』というのは、非常にいいところに目を付けていて、検索の結果を広告枠として販売しているという、いま非常に人気のあるサイトリスティング広告の先駆的存在だったのですが、『あるあるネット』自体があまりアクセス等が伸びなくて、やめてしまいました。その体験を教訓に、それ以降、営業力を主体とした戦略に特化する方向にシフトしました。広告主がこういう広告があれば出稿したい、というニーズに合わせてメディアを立ち上げています。
当社に限って言えば、メディアの立ち上げにあたっては、こういうサイトが便利で、ポータルサイトを作ればユーザーがもっと集まるはずだ、というメディア企業的な視点というよりは、営業をしていて、広告主がこういうメディアでこういう広告商材であれば出稿したい、というところから生まれてきたものが多いのです。
ガイド:
CAの専門化された各種広告メディアは、広告主のニーズによって作られたということですね。
藤田:
はい。ですので、CAはインターネット広告代理店というイメージの割にメディアの広告売上高は、Yahoo! JAPANに次いで国内第2位なんです。(2005年3月末時点)それは、サービスとしての知名度としては低くても、売れる広告商材を、より専門化した形で持っているからです。
ガイド:
売れる広告であり、売れる広告メディアなのですね。
藤田:
ただ、これも善し悪しなんですけどね。
ガイド:
と、いいますと?
藤田:
本来メディアというのは、対ユーザーと向き合ってつくるべきものなんです。そう言う意味では、「拡大力」みたいなものは、どうしても散発的にやっているがゆえに弱いのです。
ガイド:
口コミ等によるヴァイラル性(増殖性)のことですね。その辺の対策は今後どうされるのですか?
藤田:
これまでは多メディアをネットワーク的に展開しているのを特徴にしていたわけですが、会社の知名度やブランド力が高まると、コミュニケーションロスが起こりやすいのです。つまり、せっかく信頼できる社名、会社のブランドがあっても、保有する各メディアと一体化されていないと、信頼と言う観点からいってブランドが反映されていないということになってしまいます。その一体化を推進するために、今後は、『アメーバ by サイバーエージェント』という打ち出し方で、各メディアのブランド統合を行っていきます。
ガイド:
アメーバ.jpというサイトもありますが、これは今後、ポータルとして機能していくのでしょうか?
藤田:
それは逆です。現在もアメーバブログやアメーバ.jpなど、アメーバブランドでは、いくつかメディア展開しているのですが、アメーバ.jpは見た目、ポータルサイトのように見えるかもしれませんね。しかし、基本的な戦略としては、トップページからユーザーが入ってくるというよりは、逆にボトムアップでアメーバーブログなど当社のサービスを使っているユーザーが当社のトップページも使っていただく、というイメージです。オールアバウトさんもそうですけど、ユーザーは検索エンジンからたどり着いてきますよね。
ガイド:
ということは、つまり機能別のサイトを最終的にまとめるためにのみ、アメーバ.jpは存在するということですか?
藤田:
いや、ポータルとしては使ってもらいたいんですよ。ただそれはユーザーがカスタマイズして使う、というパーソナライズド・ポータルという使い方です。ただ、従来の考え方のように、玄関のポータルさえ押さえれば、その先のコンテンツはすべて押さえられるという考え方ではなく、今後各サイトは、サービス毎に専門化、細分化されて選ばれていく、ということになると思います。
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