財形貯蓄は給与天引きで積み立てる「制度」であり、定期預金は銀行などが取り扱う「金融商品」です。財形貯蓄の積立先に、定期預金型の商品が用意されている場合もあります。
2026年は日銀の利上げを背景に、メガバンクやネット銀行で預金金利の引き上げが相次いでおり、定期預金に注目が集まっています。
公務員には給与天引きで積み立てる「財形貯蓄」という選択肢がありますが、定期預金とはどちらが向いているのでしょうか。今回は、財形貯蓄と定期預金の特徴を比較しながら、公務員がどのように使い分ければよいのかを考えてみましょう。

公務員も利用できる「財形貯蓄」とは
財形貯蓄は、公務員だけの制度ではありません。会社員などの勤労者も、勤務先に制度が導入されていれば利用できます。勤務先を通じて金融機関などと契約し、給与や賞与から一定額を天引きして積み立てる仕組みです。
・一般財形貯蓄:使い道は自由
・財形年金貯蓄:60歳以降の年金として受け取ることを目的とする
・財形住宅貯蓄:住宅の取得やリフォームを目的とする
財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は、原則として契約時55歳未満の人が加入できます。両方を合わせて元利合計550万円までの利子等が非課税となります。一般財形貯蓄には、この非課税措置はありません。
財形貯蓄の金利は、勤務先が契約している金融機関や商品によって異なります。例えば三菱UFJ信託銀行では、2026年8月10日現在、定期預金型の金利は年1%、金銭信託型は年0.52%です。
定期預金とは?
定期預金は、一般に普通預金より高い金利が設定されます。ただし、金融機関や商品、預入期間によっては当てはまらない場合もあります。
例えば、三菱UFJ銀行の定期預金は2026年10月時点で、1年もの定期預金が年0.5%、5年ものが年1%となっています。
ネット銀行には、さらに高い金利の商品もあります。ソニー銀行の2026年10月時点では、1年もの円定期預金が年1%、3年ものが年1.8%、5年ものが年1.5%となっています。
他にも、期間限定の商品や新規口座開設者向けの商品には、さらに金利条件のよいものもあります。預入期間や適用条件を確認して比較することが大切です。
財形貯蓄と定期預金、何が違う?
財形貯蓄と定期預金は、どちらもお金を貯める方法ですが、特徴は異なります。
【財形貯蓄の特徴】
・給与や賞与から自動的に天引きされる
自分で毎回預け入れることなく、先取り貯蓄ができる。
・勤務先が契約している金融機関・商品を利用する
自分で自由に銀行を選ぶのではなく、勤務先が導入している制度の中から利用する。
・財形年金・財形住宅には税制優遇がある
一定の条件を満たせば、両制度を合わせて550万円までの利子等が非課税になる。
・目的が決まった財形には払い出しの条件がある
財形年金・財形住宅は、目的外で払い出すと非課税の扱いを受けられなくなる場合がある。
【定期預金の特徴】
・自分で金融機関を選べる
メガバンク、地方銀行、ネット銀行などから、金利や条件を比較して選べる。
・預入期間や金額を自分で決められる
1年、3年、5年など、資金を使う時期に合わせて選択できる。
・使い道は自由
財形住宅・財形年金のような用途の制限はない。
・満期前でも中途解約できる
ただし、期限前解約利率が適用され、当初より低い金利になる。
こうして比べると、「自動的に貯める仕組みを作りたいなら財形貯蓄」「自分で金利や条件を比較して預けたいなら定期預金」と整理できます。
住宅購入を考えるなら、財形の「融資」も確認
財形貯蓄には、貯めるだけでなく、住宅資金の融資につながる制度もあります。
財形貯蓄を1年以上利用し、50万円以上の残高があるなどの条件を満たすと、財形貯蓄残高の10倍、上限4000万円の範囲で、住宅の建設・購入やリフォームのための融資を利用できます。
公務員については、共済組合などを通じて財形持家融資を利用できます。
住宅購入を予定している場合は、財形貯蓄を利用することで受けられる制度上のメリットまで含めて考えることが大切です。
公務員が利用するなら、目的と自分の好みで使い分ける
財形貯蓄と定期預金は、どちらか1つに決める必要はありません。目的だけでなく、自分の好みやお金の管理の仕方に合わせて選ぶ方法もあります。
財形貯蓄は、勤務先に申し込めば、給与や賞与から自動的に積み立てられます。「先取りでコツコツ貯めたい」「自分で貯蓄を管理するのは苦手」という人に向いています。
一方、定期預金は、自分で金融機関を選び、預入期間や金額を決めて申し込みます。ネット銀行ならスマートフォンやパソコンから手続きできるため、「金利を比較して条件のよい商品を選びたい」「自分で資金を管理したい」という人に向いています。
老後資金や住宅資金など、目的を決めて自動的に貯めたいお金は財形貯蓄、金利や条件を比較しながら自分で管理したいお金は定期預金。このように、お金の目的と自分の好み・性格の両方から選ぶと、自分に合った貯蓄方法を見つけやすくなります。
特に、家のリフォームや新築など、将来まとまった住宅資金が必要になる人は、財形住宅貯蓄を知っておくとよいでしょう。財形住宅貯蓄は、住宅資金を貯めるだけでなく、一定の条件を満たせば「財形持家融資」につながる制度もあります。「貯める」だけでなく「借りる」ことまで含めて考えられるのが、財形ならではの特徴といえるでしょう。







