
人は社会的な生きものなので、どうしても比べたくなるもの。自分よりすぐれていたり、いい環境にいる人に対して嫉妬してしまう。その感情を無理に封印するよりも、「どうして嫉妬してしまうのか」を考えた方がいいのかもしれない。
全ての人を妬むママ友
妬みが強いママ友の話をしてくれたミキさん(44歳)。
「誰かがダイエットに成功すると、『でもあんなに痩せたら女性としての魅力がなくなるわよね』と言ったり、パートから正社員になった人には『なんだか子どもがかわいそう』と陰でディスったり。素直に『よかったね』と言えないヨリコさんというママ友がいるんです。嫉妬する気持ちは私も分かるけど、嫉妬しても意味ないし、その人にとっていいことがあったなら祝福したいと思うんですよね。でも彼女はいつでも嫉妬心丸出しなので、周りはいいことがあっても彼女に何も言わなくなりました」
ママ友のグループLINEでは、ヨリコさんをはずしたグループも作られた。ミキさんは、そのときは少し気の毒だなと思ったのだが、そんな気持ちを逆なでするようなことが起こった。
娘の成績がいいのを妬まれて
「子どもがらみです。小学生の娘がたまたま任意で参加した模擬テストでいい点数を取ったんですよ。塾にも行ってないし、私立中学を受ける予定もない。いっそ国立中学に行けたらいいねなんて親子で笑っていたんです。そうしたらヨリコさんが、『あの家は塾には行かせてないけど、毎日、家庭教師が来ている。私立中学は受けないと言っているが、実際には○○中学に入れたいらしく、裏からも手を回しているらしい』といううわさを流したんです。さすがに頭にきましたが、いちいち言い訳して回るのもバカバカしい。彼女を信じる人がいるなら信じればいいと開き直りました」
中には信じた人もいたらしいが、ミキさんはいつもと同じように淡々と過ごしていた。その後、担任から勧められて、実際に国立大学附属中学を受けることになったのは、偶然のようなものだった。
自らも感じた激しい妬み
ミキさんの娘は、結局、不合格だった。もともと電車に乗って通学する気などなかった娘はホッとしたようだったという。
「ところがヨリコさんは、うちが例の私立中学を受けたと思い込んでいたようです。そしてなぜかヨリコさんの娘もその中学を受けて合格した。そこはいわゆる名門校なので、受けてもいないのに、私、なぜか妙に妬ましい気持ちになったんです。その中学を受けて合格したとしても行かせてやる財力がないからなのかもしれない。ヨリコさんの家庭環境がうらやましかった。結局、彼女には会わないように避ける日々が続きました」
そんなミキさんに、夫は「うちはうちでいいじゃないか。オレに財力がないのは申し訳ないけどさ、もともと公立中学の予定だったんだし、きみが何をそんなに妬んでいるのか分からないよ」と嘆くように言った。
「それでやっと気付いたんですよ。妬まれて妙なうわさを流され、嫌な思いをしたのに、私が今ヨリコさんにおめでとうと言えずに避けて歩いているのは、彼女がしたこととたいして変わらない。私も妬んでいるだけじゃないかって」
つい本音を漏らしたら
ミキさんはあえてヨリコさんの家の前を通ってスーパーへ出掛けた。帰りがけ、家から出てくるヨリコさんを見つけ、「聞いたわよ。おめでとう。娘さん、すごいね」と明るく話しかけた。
「ヨリコさんはバツの悪そうな顔をして、『なんか……ごめんね、私、前に変なことを言って』と謝ってきたんです。気にしてないから大丈夫、それより本当によかったわねと言ったら、『お宅は受けてなかったんですってね』って。うち、そんな財力ないのよ、お宅がうらやましいわとつい本音を漏らしたら、なんだか気持ちがすっと楽になりました。するとヨリコさんも『夫に財力はないのよ、うち零細企業勤めだから。でも私の両親が学費を全部出してくれるっていうから』と笑っていました。互いに本音を見せて、とても晴れやかな気分になったのを覚えています」
それから2年たったが、ミキさんはヨリコさんとずっと仲よくしている。時には二人で出掛けることもある。表向きだけうまく付き合う関係ではなくなり、互いに愚痴を言ったり励まし合ったりできる仲だ。
「犬猿の仲に見えていた私たちが仲よくしているから、周りは驚いたようです。でも大人になってから親しい友達になれるかどうかは、本音を言い合えるかどうかにかかってくるんだとよく分かりました」
いつまでも妬んでいたら友人関係にはなれなかっただろう。負の感情は無理に押し込めるより、理屈で考えて払拭(ふっしょく)していくのが一番いいのかもしれない。







