参考となる、創価学会批判をめぐる裁判
まず、漫画などの画像をXに投稿する場合、著作権法上の大きなポイントになるのが「引用」です。著作権法では、一定の条件を満たす場合には、他人の著作物を「引用」して利用することが認められています。
簡単にいうと、「自分の文章を書いたり意見を述べたりするために、その説明や批評などに必要な範囲で、他人の著作物を利用する」というイメージです。
例えば、「この漫画のこの場面が非常によかった。その理由は○○だからだ」と自分の感想や批評を述べ、その内容を説明するために、実際の漫画の該当場面を掲載する、といったケースが考えられます。
ただし、単に「自分の文章+他人の画像」とすれば、全てが引用として認められるわけではありません。その画像を利用することが、投稿している文章や批評との関係で必要といえるのか、投稿全体として自分の文章などが中心となっているのか、といった点が問題になります。
このSNS上の画像利用について、近年注目される裁判例があります。
創価学会が発行する聖教新聞の写真画像を利用しXにて創価学会を「選挙学会」「宗教団体ではなく政治団体」などと批判したケースについて、写真画像の利用が著作権法上の「引用」に当たるかどうかが争われた事件です(知財高裁2025年7月31日判決)。
この事件で重要なのは、投稿者が写真そのものを批評していたわけではなかったという点です。
それにもかかわらず、裁判所は、その写真が掲載されていた新聞記事が報道していた「出来事」と投稿者の批評との間に関連性があることなどを踏まえ、写真の利用について正当な引用に当たると判断しました。
さらに、著作者名や作品名などの表示が十分ではなかったとしても、投稿全体や前後の投稿などから、その写真などの出所が容易に分かる場合には、引用として認められ得ると判断しています。
この判決は、SNSにおける著作物の「引用」を考える上で、非常に参考になるものです。
『映画ちいかわ』の感想に原作画像を載せる場合は?
では、この裁判例の考え方を、『映画ちいかわ』の感想をXに投稿するケースに当てはめてみましょう。
ポイントになるのは、「なぜ映画の感想を述べるために、原作漫画の画像を使う必要があるのか?」という点です。
例えば、次のような投稿を考えてみます。
映画『ちいかわ』を見ました。原作ではこの場面は○○という描き方でしたが、映画では△△という演出に変更されていて、とても面白かったです。
<原作の該当場面の画像>
この場合、「原作ではこう描かれていた。それが映画ではこう変わっていた」という原作と映画の比較・批評をするために、原作画像を利用していると考えることができます。そのため、引用として認められる可能性は比較的高いと考えられます。
もう1つ例を挙げてみましょう。
映画『ちいかわ』を見てきました。原作ではこの場面のちいかわの表情が非常に控えめなのに対し、映画では表情の変化がかなり強調されていました。この違いによって、映画版の方が○○という感情が伝わりやすくなっていたと思います。
<原作の該当場面の画像>
この場合も、原作画像が「原作と映画の表現の違い」を説明・批評するために使われています。つまり、文章と画像との間に具体的な関連性があり、画像を利用する必要性も説明しやすいケースです。
これらのような場合は引用として認められやすく、著作権法的に問題にはならない可能性が高いです。
では、どういった画像の使い方だと問題となるのでしょうか。







