
断られるのが怖いからと、内容や目的を伏せたまま日程だけを聞いていませんか。一見丁寧に見えるこの誘い方は、相手にプレッシャーを与えているかもしれません。
TVやメディアで活躍中の心理カウンセラー・五百田達成さんの著書、『「誘える人」がぜんぶ手に入れる』では、人間関係を豊かにする「人の誘い方」について分かりやすく解説しています。
今回は一部を抜粋し、悪気なく相手を追い詰めているNGな誘い方と、相手も自分も気負わずにすむ「OKな誘い文句」の具体的なフレーズを紹介します。
無意識のうちに相手を追い詰めてしまうNGな誘い方
今回は具体的にどう誘えばいいのかという「誘い方」の技術について詳しくお伝えしていきます。まず、こんな誘い方はどうでしょう? AさんがBさんを誘うLINEのやりとりを見てみてください。
Aさん「お疲れ様です! 来週、どこか空いてる日ありますか?」
Bさん「週末なら今のところ空いてますが……何かありましたか?」
Aさん「よかったです! じゃあ金曜の夜、飲みに行きませんか? お店はBさんの好きなところで、何時でもいいですよ!」
Bさん「……」
もしあなたがBさんの立場でこんな誘われ方をしたら、どう思いますか? なんだかモヤッとするというか、少し返事に困ってしまいませんか?
僕は、このAさんの誘い方には、無意識のうちに相手を追い詰めてしまうNGポイントが3つあると思っています。
NGポイント①:用件を言わずに日程だけ聞く
「空いてる日ありますか?」と、先に日程だけを尋ねて内容を明かさないのは、相手の逃げ道をふさいでしまう「重い」誘い方です。
誘われた側は「えっ、空いてるけど何に誘われるんだろう?」「先に空いていると言ってしまったら、もし面倒な用事でも断れないのでは」と一気に警戒してしまいます。
NGポイント②:「私」という丸腰のコンテンツで勝負している
ただ「私と飲みませんか」と自分自身を差し出している状態です。これでは、相手は「この人とサシで飲んで、果たして2時間楽しいだろうか……」と重く受け止めてしまいます。断られたときのAさん自身のダメージも大きいでしょう。
NGポイント③:相手に委ねすぎる
「好きなところでいい」「いつでもいいですよ」という言葉は、一見すると相手を気づかって優しくしているように見えます。しかし、店選びや開始時間の設定を、相手に押し付けているとも言えます。
さらに、相手は「そのお店はちょっと苦手で」「その企画は興味がなくて」と断るための言い訳が使えなくなり、逆に苦しくなることもあるでしょう。
相手も自分も気負わないGOODな誘い方
では一方で、こんな誘い方はどうでしょうか。
Aさん「お疲れ様です! 来週の金曜(15日)夜、プロジェクトの打ち上げも兼ねて、同期のCくんも呼んで『お疲れ様焼肉会』をしませんか? というのも、実はなかなか予約の取れない、おいしい焼肉店が取れたんです。あ、でも、予定が合わなかったら全然断ってくださいね~!」
Bさん「いいですね! 焼肉行きたいです!」
Aさん「よかったです! 19時からの予定ですが、もし仕事が忙しかったら遅れて参加でも大丈夫なので、無理のない範囲でいらしてくださいね!」
いかがですか? 先ほどのAさんの誘いに比べて、このほうがずっと返事がしやすいような気がしませんか。僕から見る、この誘い方のGOODポイントはこちらです。
GOODポイント①:大義名分(企画名)がある
「プロジェクトの打ち上げ」「お疲れ様焼肉会」という明確な企画名がついています。これがあることで、相手は「あなたに会いに行く」のではなく「打ち上げに行く」という、参加するための大義名分を持ちやすくなります。
GOODポイント②:「店」と「人」の保険がある
「予約の取れない焼肉店(店の保険)」と「同期のCくん(人の保険)」をしっかりと用意しています。これにより、「万が一私と話が弾まなくても、おいしいお肉が食べられるし、Cくんがいるから楽しめるよ」というメリットを提示できています。
さらに、サシ飲みではなく「3人の会」という枠組みにしているため、相手の警戒心がスッと解け、参加のハードルが劇的に下がっています。
GOODポイント③:相手の逃げ道を用意している
「予定が合わなかったら断ってもいい」「仕事が忙しかったら遅れて参加でもOK」と、相手が罪悪感なく断ったり、部分参加したりできるような配慮を、あらかじめ文面に盛り込んでいます。
相手の「申し訳ないな」「どうしようかな」という心の声を先回りしてあげることで、オファーは強要から、軽やかな提案へと変わるのです。
このように、ほんの少し言葉や見せ方を変えるだけで、相手が返事をしやすく、またその後もお付き合いが心地よく続いていく「誘い方」の技術というものがあるのです。
著者:五百田達成(いおた たつなり)
心理カウンセラー。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。東京大学教養学部卒業後、KADOKAWA、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、五百田達成事務所を設立。個人カウンセリング、講演、執筆など、多岐にわたって活躍中。専門分野は「コミュニケーション心理」「ことばと伝え方」「SNSと人づきあい」。会社員としての実体験と豊富なカウンセリング実績に裏打ちされた、人間関係、コミュニケーションにまつわるアドバイスが好評。







