
「夫への愛情はもうない。でも、離婚するほどでもない」
熟年世代の夫婦相談では、そんな声を聞くことがあります。夫婦としての会話はほとんどない。休日も別々。それでも、経済的なことや老後を考えれば、このまま暮らしていく方がいいのかもしれない。そんなふうに、「仮面夫婦」のような状態で暮らしている人も少なくありません。
そこで私が提案したいのが、50代からの「離婚体力」という考え方です。離婚体力は「離婚するための力」ではありません。「離婚するにしても、しないにしても、自分で自分の人生を選べる力」のことです。
早速、次の5つの質問に答えながら、今の自分の離婚体力をチェックしてみましょう。
目次
1. 離婚体力チェック「経済編」
Q. もし離婚したら「毎月いくらで暮らせるか」を具体的に言えますか?
【解説】離婚を考えた女性から、もっとも多く聞く不安の1つが「1人で生活していけるでしょうか?」というものです。貯蓄、収入、年金、住居費、財産分与などを一度数字にしてみると、漠然としていた不安の正体が見えてきます。
たとえば「離婚したら月15万円必要なのに、今の収入では5万円足りない」ことが分かったとしても、離婚を諦める必要はありません。「では5万円をどう補おう?」と具体的に考えられるからです。
お金は、離婚するためではなく人生の選択肢を増やすために必要なもの。まずは自分のお金を「見える化」してみましょう。
2. 離婚体力チェック「生活編」
Q. 夫が1カ月いなくても、今の暮らしを自分で回せますか?
【解説】電球が切れたら夫まかせ、保険や税金のことも夫まかせ、車のことも分からない……。
夫婦で役割分担をすること自体は悪いことではありませんが、「夫がいないと暮らせない」と「夫と一緒に暮らしたい」は別の話です。把握していないことがあれば、あなた自身が1つずつ覚えればいいし、あなたにしか分からないことを共有しておきましょう。
互いが1人でも暮らせる夫婦の方が、「一緒にいること」を自由に選べるのです。
3. 離婚体力チェック「メンタル編」
Q. 夫のいない食卓は、寂しいというよりホッとしますか?
【解説】これは、1人で過ごす夜など、気持ちが落ち着いているときに自分へ問いかけてほしい質問です。
離婚を考えるとき、人はつい「夫が嫌いか、好きか」で判断しようとします。でも、実際はそれだけではありません。「1人になったら寂しい」「むしろ気持ちが楽になる」「寂しいけれど、それでも今より穏やかかもしれない」など、正解は1つではありません。どんな答えでもいいのです。
大切なのは、世間体や子どもの意見ではなく、自分がどう感じているのかを知ること。自分の本音を受け止められる力も、大切な「離婚体力」です。
4. 離婚体力チェック「社会生活編」
Q. 困ったとき、「助けて」と言える相手がいますか?
【解説】「離婚したら孤独になるのが怖い」という人は少なくありません。
けれども、夫がいれば孤独に陥らないわけではありません。友人やきょうだい、成人した子どもや仕事仲間、近所の人、そして必要なら専門家。困ったときに相談できる人や場所を持っておくことは、50代以降を生きる大切な力です。「寝込んだときに、気づいてくれる人はいるかな?」そんな視点で、自分を取り巻く人間関係を見直してみてもいいでしょう。
夫婦関係だけを人生のセーフティーネットにしないこと。それは離婚する、しないにかかわらず大切なことです。
5. 離婚体力チェック「未来編」
Q. 10年後、「こんな私でいたい」という姿を想像できますか?
【解説】最後は、夫ではなく自分について考えてみてください。あなたは10年後、どこで、誰と、どんな毎日を送っていたいですか?
「今の家で夫と穏やかに暮らしたい」「仕事を続けて自立していたい」「友人と旅行したい」「1人暮らしを楽しみたい」などいろいろあると思います。
大切なのは、「夫がどうするか」ではなく「私はどう生きたいか」から未来を考えること。熟年世代だからといって、年齢を理由にこれからの人生を選び直すのを諦める必要はないのです。
離婚体力チェックは離婚回避にも役に立つ
5つのチェック項目を通して、今のあなたに「足りないものは何か」が分かったのではないでしょうか。経済面での離婚体力が足りなければ、お金について調べればいいし、生活面での離婚体力が心配なら、1人でできることを増やせばいい。
じつは、そうやって1つずつ離婚体力を身につけていくと、離婚という選択を急がない未来も待っています。なぜなら、「いつでも自分で人生を選べる」と思えるだけで、心に余裕が生まれるからです。
離婚することが自立ではありません。「離婚する」「離婚しない」のどちらも、自分の意思で選べること。それが本当の自立です。離婚体力は、これからの人生を自分らしく生きていくためにも必要な基礎体力でもあるのです。







