相次ぐ物価上昇で「もはや老後資金は2000万円では済まないのでは」と、不安が増す昨今。ただ、「現役時代にもっと貯蓄すべきだった」と嘆く人がいる一方で、「元気なうちにお金を使うべきだった」と悔やむ人がいるのも事実です。
実際、年金生活でどれくらいお金が必要なのか。いくら貯蓄があれば安心して老後を迎えられるのか。All Aboutが実施したアンケート調査から、2026年2月14日に回答のあった、東京都在住69歳男性のケースをご紹介します。
回答者プロフィール

ペンネーム:とも
年齢・性別:69歳・男性
同居家族構成:本人、妻(65歳)、長男(31歳)
住居形態:持ち家(マンションなどの共同住宅)
居住地:東京都
リタイア前の職業:会社役員
リタイア前の年収:1400万円
現在の現預金:1500万円、リスク資産:3000万円
これまでの年金加入期間:国民年金3カ月、厚生年金560カ月、米国年金4年、個人年金保険25年
現在の収支(月額)
老齢基礎年金(国民年金):5万9979円
老齢厚生年金(厚生年金):15万2419円
障害基礎年金や障害厚生年金(障害年金):なし
遺族基礎年金や遺族厚生年金(遺族年金):なし
そのほか(企業年金や個人年金保険など):米国年金6万5000円、個人年金保険8万4353円
年金以外の収入:給与収入14万5000円、配当25万円(年額)、同居長男からの生活費負担金60万円(年額)
配偶者の年金や収入:年金93万円、米国年金27万円、給与収入12万円(いずれも年額)
支出:50万円
「長男が独立すれば、夫婦2人の年金だけで余裕のある生活ができる」
現在、預貯金1500万円、リスク資産3000万円を保有しているという、ともさん。
自身の老後資金について貯め過ぎと感じているか、それとも足りないと感じているか、との質問には「ちょうどいい」と回答。
その理由について、「現在、長男が同居していて、食費や光熱費や雑費などがかさみ、月の支出額がやや高止まりしています。ただ、彼が独立すれば、夫婦2人の年金収入だけで、ある程度余裕のある生活ができると思っています」と説明しています。
さらに、「役員定年に伴って前の会社を62歳で退職後は、自宅近くの介護施設で勤務しています。給与収入は、年数回の旅行などの娯楽代として使っても毎年いくらかは貯蓄に回せている」と、資金には余裕があるそうです。
「FXの失敗がなければ、さらに数千万円の資産を築けたと悔やむ」
現役時代は、老後資金として「3000万円」貯めることを目標にしていたと言います。
そのため、「社宅住まいで家賃負担が少ない頃から財形住宅貯蓄を始めており、子どもが小さい頃は学資保険などで学費をこつこつと積み立てる」など、ライフプランを意識しながら資産形成に取り組んできた様子。
年金生活となった今も、「趣味の旅行費用は制限を意識することなく捻出できており、お金は使いたい時ほぼ思い通り使えているので、『もっと貯めておけば』という気持ちはありません」と話します。
一方で、「一時期、FXや株の信用取引に手を出し、かなりの損失をこうむることもあった。運用失敗がなければ、千万単位の資金を積み上げできていたと思うと悔やまれます」とも明かしています。
「楽しく働き続けられれば、少々老後資金が少なくても心配ない」
今の生活についての満足度については「満足している。現役時代に比べ、自由になる時間が格段に増え、やりたいことを自由にできる環境はとても貴重」と、ともさん。
続けて「通勤列車での長時間通勤や仕事での重責や重圧から逃れ、今の職場は徒歩5分のデイサービス。職場では高齢の方への健康体操や健康マージャンの指導などを行うことで、社会につながり続けていられる。同時に、自分自身の健康維持や介護予防に役立てられていることにも、満足感を覚えています」とコメント。働くことには、お金以外の価値を見出しているようです。
実は「2年前に悪性リンパ腫の宣告を受けた」そうですが、「8年前に加入したがん保険の抗がん剤給付を、月10万円もらえたのは不幸中の幸いでした。進行がゆっくりとしたがんで、保険の契約上、今後再発して治療が高額になっても、高額療養費制度とがん保険を併せたら、まったく心配ありません。残り10年程度の人生を、仕事に趣味にがんばれると思います」と語ります。
現役世代に向けては、「50代後半からは、がんになるリスクも高まっていくと思うので、保険料負担が少なくて給付に満足できる保険商品をじっくり検討されるのも必要」とアドバイス。
また、「若いころは、地道にこつこつと将来資金のベースを貯めていくのが一番。頑張って重要なポストに就き、高収入を得られるに越したことはありませんが、それ以上に、なんといっても健康が一番。定年後も楽しく働き続けられれば、老後資金が多少少なくても心配し過ぎる必要はない。そうでなくとも、お金を使わずに楽しみを得られる方法を探すこと自体を、楽しめればいい」と投げかけられていました。
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