皮膚・爪・髪の病気

Q. 脇汗が多く、汗じみや臭いに悩んでいます。汗の量を減らす方法はないでしょうか?

【医師が回答】脇汗が人より多いのはただの体質ではなく、保険治療の対象となる病気の可能性もあります。「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」の場合の治療法について、分かりやすく解説します。(※画像:Shutterstock.com)

井上 義治

井上 義治

皮膚・爪・髪の病気 ガイド

形成外科専門医

慶應義塾大学卒業後、形成外科、一般消化器外科、乳腺外科、頭頚部外科、整形外科の研修を経て、現在、横浜いずみ台病院勤務。総合診療に従事しております。 2013.8.25 読売新聞「からだの質問箱」で巻き爪について執筆しました。 215.3.10 公明新聞で「ロコモティブシンドローム」を執筆しました。

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Q. 脇汗が多く、汗じみや臭いに悩んでいます。汗の量を減らす方法はないでしょうか?

タンクトップを着た女性
夏になると特に気になる「脇汗」の悩み。効果的な対処法は?

Q. 「脇汗が人よりも多くて悩んでいます。市販の制汗剤を塗ってもあまり効果がありません。汗じみが目立たないように、服の脇部分にパッドを付けているのですが、汗の臭いや量が目立っていないか、いつも不安です。これは体質だから仕方ないのでしょうか? 汗の量を減らす方法があれば知りたいです」

A. 腋窩多汗症で日常生活に支障が出ている場合、医療機関での治療も可能です

汗は体温調節のために必要なものですが、必要以上に多く出てしまう場合は「多汗症」の可能性もあります。緊張や不安が強いとき、誰でも一時的に汗が増えることはありますが、多汗症の場合は異なります。自律神経の失調が原因で起こると考えられており、単なる体質の問題として片付けられるものではありません。中でも脇の下に症状が出るものを「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」と呼び、日常生活に支障が出るほどであれば治療の対象となります。

治療はまず、汗の量を減らすための「塩化アルミニウム液」の外用から始めるのが基本です。皮膚に塗るだけと手軽ですし、副作用も少なく、比較的安価に試せます。

この治療で効果が見られない場合、「ラピフォートワイブ」ないし「エクロックゲル」という塗り薬が現在保険適応で認められています。どちらも1日1回両方の脇の下に薬を塗ります。おおよそ汗の量が50%以下になるので、有効性は高い薬です。副作用としては、頻度は低いものの、口の渇き、過度な眩しさなどを感じる羞明(しゅうめい)、排尿困難などが起きる可能性があります。副作用が出なければ、長期間使用している方が大部分です。

次の段階として検討されるのが「ボツリヌス毒素の注射」です。この治療は2012年11月から、脇の下の多汗症に限って健康保険の適用が認められました。ボツリヌス毒素は神経と汗腺のつなぎ目に働き、発汗を促す神経伝達物質の働きを止めることで汗を抑えます。一度の注射で効果は数カ月続き、少量から投与を始めれば副作用もほとんど見られていません。

それでも改善が見られない場合は、「交感神経遮断術」という外科手術も選択肢に挙がります。入院し、全身麻酔をした上で内視鏡を使用し、交感神経を永久に遮断する方法です。効果は非常に高いですが、遮断した部位のまわりの発汗が増加する副作用を伴うため、十分に納得した上で、検討するのがよいでしょう。

脇汗の多さに悩んでいても、「体質だから仕方ない」と諦めている人は少なくありません。実際には保険診療で受けられる治療も含め、上記のような複数の医療的な選択肢もあります。気になる方は皮膚科など専門の医療機関を受診してください。

さらに詳しく知りたい方は、「腋窩多汗症の新しい治療法」をあわせてご覧ください。

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