感染症

Q. マダニで死亡リスクもあるという感染症が心配です。野山に行かなければ大丈夫でしょうか?

【医師が回答】マダニは家にいるチリダニとは全く別物で、咬まれると命に関わる危険があります。SFTSを発症した場合、死亡率は6~30%です。マダニによるSFTSは昨年以上に増えていますので、しっかり対策しましょう。(※画像:Shutterstock.com)

清益 功浩

清益 功浩

家庭の医学 ガイド

医師

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院小児科・アレルギー科で診療に従事。論文・学会報告多数。診察室外で多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。

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Q. マダニで死亡リスクもあるという感染症が心配です。野山に行かなければ大丈夫でしょうか?

マダニへの注意喚起
国内でも感染が増えているマダニ感染症。効果的な予防法・対策法は?

Q. 「マダニに咬まれて死亡リスクもあるという感染症のニュースをよく見かけます。野山に入らなければ大丈夫でしょうか? 犬の散歩で住宅街のちょっとした草むらを歩くことはありますが、何か注意するべきなのか、気になっています。家にもダニくらいいると思うのですが、全く別のものと考えるべきですか?」

A. マダニは身近な場所にもいる危険なダニです。正しく対策しましょう

マダニは「登山者や農作業をする人だけが気を付ければいい」と思っている人も多いかもしれませんが、多くの人が日常生活の中で遭遇する可能性があります。マダニは日本全国に広く分布しており、住宅街の公園や河川敷の草むら、自宅の庭などにも潜んでいます。特に春から秋にかけて活動が活発になるため、野山に行く人に限らず注意が必要です。

質問者の方が「犬の散歩」と書かれていますが、ペット経由のリスクも見落とされがちです。犬や猫の散歩後に、マダニがペットの体に付着して自宅へ持ち込まれるケースは珍しくありません。ペットに触れた際に人にマダニが移ることもあるため、散歩から帰ったらペットの体をくまなく確認することが大切です。マダニは吸血前で3~8mm程度と小さく、気付かないまま咬まれていることもあります。

マダニは日本紅斑熱・ライム病などを媒介しますが、特に「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は深刻な感染症です。今年はとりわけ感染者の報告が多く、過去最多と言われた昨年のペースを上回っています。6月23日時点の報道では、国内の感染者数はすでに78人です。

SFTSウイルスを持ったマダニに咬まれてSFTSに感染すると、発熱・消化器症状・神経症状・出血症状などが起こります。重症化すると、死亡率は約6~30%にものぼる危険な感染症です。恐ろしいのは、現時点で特効薬もワクチンも存在しないという点で、家の中にいるチリダニに咬まれるのとはわけが違います。インフルエンザなどのほかの感染症と異なり、咬まれてウイルスが体内に入ってしまってからでは、手洗い・うがいなどによる感染対策も効果がありません。「咬まれないこと」が何より重要な予防策になります。

  • 長袖・長ズボン・手袋などを着用し、肌の露出を減らす
  • 露出している肌には虫除けスプレーを使用する
  • 草むらや地面に直接座らない。衣類を地面に置かない
  • 野山・草むらに入った後はすぐに入浴して新しい服に着替える
  • ペットの散歩後にはマダニが付着していないか確認する
  • ペットにマダニを発見した場合は、素手で触れずに駆除する

もしマダニに咬まれてしまった場合は、無理に自分で取り除こうとせず、すみやかに医師に相談し、咬まれた事実を伝えることが重要です。マダニが関係する感染症は複数あります。咬まれた後に発熱などの症状が現れた場合は、必ず受診して検査を受けてください。

さらに詳しく知りたい方は、「マダニで死亡も……重症熱性血小板減少症候群とは」をあわせてご覧ください。

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