「アラスカ」と聞くと、地の果てのようなイメージを持つ方も多いかもしれません。実はアラスカは世界有数のクルーズエリア。氷河や野生動物、雄大な自然を間近に感じられることから、世界中のクルーズファン憧れの旅先で、夏のシーズンには多くの客船でにぎわいます。

日本から直行便がある米・シアトル発着で乗船でき、費用も手ごろ。日本発着クルーズ乗船後の選択肢としてもおすすめです。シーズンは5月から9月、行程も7日間~設定があるので、日本からなら前泊しても10日間あればOK。現役世代も夏休みを利用し訪れることができます。
今回乗船したのは、プリンセス・クルーズの新造船「スター・プリンセス」。17万トン超えの客船の魅力はこちらで紹介しているので、本記事ではアラスカクルーズの魅力や旅の準備をクルーズコンサルタントの筆者が紹介します。
目次

実は手軽でコスパ最強のアラスカ。いくらで行ける?
憧れのアラスカクルーズですが、今回利用したプレミアム船「スター・プリンセス」の場合、8日間のクルーズ代金は10万円台(内側客室)~。移動中の宿泊費、食事代、エンターテインメント代の多くが含まれていることを考えると驚くほどリーズナブルです。

今年(2026年)のクルーズは直前割引もあり10万円を切る価格での販売もあります。もちろんシアトルまでの航空券代は別途必要で、昨今の燃油サーチャージの高騰を考えると「今すぐは難しい」と感じるかもしれません。でもこの機会に「アラスカは高い」というイメージを改め、「いつか行く旅先」に加えてみませんか?

船上から氷河や流氷などの絶景続きのアラスカクルーズは、予算に余裕があればバルコニー客室がおすすめです。でも乗船したスター・プリンセスは、景色を楽しめるデッキやラウンジなどパブリックスペースが充実しているので、内側客室でも十分楽しめます。

米・シアトル(Seattle)から8日間コースの中身
クルーズの玄関口となる米・シアトル(Seattle)へは、東京や関西から直行便があり、飛行時間は約8~9時間。港は市街地にも近く、空港からも比較的アクセスしやすいため、個人手配でもハードルは高くありません。

寄港地は、先住民文化が息づくケチカン(Ketchikan)、アラスカ州都ジュノー(Juneau)、ゴールドラッシュの町スキャグウェイ(Skagway)、そしてカナダのビクトリア(Victoria)。さらにハイライトとして船上からエンディコット・アームを航海し氷河を眺める行程が組まれています。

アラスカクルーズ最大の見どころは船上から眺める絶景
アラスカクルーズ最大の見どころは船上からの絶景。今回のスター・プリンセスは、エンディコット・アーム(Endicott Arm)と呼ばれるフィヨルドを航行するルート。早朝5時頃、切り立った山々に囲まれた地域へはいると、雪をかぶった切り立った山々から流れ落ちる滝や、海面には流氷が現れます。やがて朝日に照らされた幻想的な風景の中に氷河が姿を現します。



船はしばらく停泊し、ゆっくりと向きを変えながら乗客全員が景色を楽しめるよう旋回。その様子を暖かいラウンジから眺めたり、デッキへ出て写真を撮ったり、それぞれが思い思いの方法で楽しみます。
筆者は今回が2回目のアラスカクルーズで、前回はグレーシャー・ベイ国立公園(Glacier Bay National Park)を航行するコースを体験しました(レポートは絶景アラスカクルーズのお値段は?)。グレーシャー・ベイは自然環境への配慮から一日2隻のみの運航となります。よりダイナミックに氷河を体感したい方はプリンセス・クルーズでもロイヤル・プリンセスなど複数の船が航海しています。
一方で、今回のエンディコット・アームのコースでも十分にアラスカらしい大自然を堪能できました。小さな船に乗り換えてより近くで氷河を眺めたり、寄港地では陸から氷河を見学、あるいはヘリコプターで氷河の上へ行くなどのエクスカーションもあります。

寄港地ではダイナミックな自然や歴史を堪能
アラスカクルーズの魅力は船上だけにとどまらず、寄港地ごとに異なる魅力があります。毎日が新しい発見の連続。今回私が参加したエクスカーションをもとに見どころを紹介します。
【ケチカン】森と海に囲まれた港町は散策が楽しい
定番のエクスカーション「グレート・アラスカ・ランバージャック・ショー」へ。アメリカ代表とカナダ代表の木こりたちが丸太渡りや木登り競争などで技を競います。英語は分からなくても周りの雰囲気を楽しめる参加型のショーで、会場全体が一体となって盛り上がります。

ショーの後はクリーク・ストリート(Creek Street)を散策。木造の遊歩道沿いに土産店やギャラリーが並び、歩くだけでも楽しい! 筆者はトーテム遺産センターまで足を延ばしましたが、こちらはアラスカ最大33のトーテムポールを見ることができます。道中の川では、以前訪れたときにはサーモンの遡上(そじょう)も見ることができました(今回は時期があわず)。

【ジュノー】大自然と出会うエクスカーションが人気
ホエールウォッチングとメンデンホール氷河(Mendenhall Glacier)が人気のエクスカーション。筆者は少し欲張って両方巡るものに参加しました。ホエールウォッチングでは、ザトウクジラが潮を吹く様子を探しながら船上で観察。クジラが姿を現すたびに歓声が上がり、場所を変えて3回見ることができました。切り立った雪山を見ながら航海し、アシカの群れなどアラスカならではの自然の豊かさを実感できます。


メンデンホール氷河では、氷河が後退した跡地を歩いて展望スポットへ。印象的だったのは過去の写真との比較展示。1955年には展望台すぐ近くまで迫っていた氷河が大きく後退しているのが分かります。筆者が前回訪れた9年前と比べても景色は大きく変わっていました。壮大な自然に感動すると同時に、温暖化の影響を考える機会にもなります。



【スキャグウェイ】人気観光鉄道で国境を越えカナダへ
ホワイトパス&ユーコンルート鉄道(White Pass & Yukon Route Railroad)に乗車。1898年のゴールドラッシュ時代に建設された鉄道で、断崖絶壁を縫うように標高を上げていきます。「こんな場所によく線路をひいたなあ」と感心しつつ、雪山や湿原が広がる景色は圧巻。アラスカクルーズの寄港地観光の中でも特に人気が高いのも納得です。


【ビクトリア】ヨーロッパの香り漂うダウンタウンや港一帯を散策
最後の寄港地はカナダのビクトリア(Victoria)。夜~深夜の寄港となり観光施設はクローズしていますが、21時ぐらいまで明るいので荘厳な建物などがあるダウンタウンの観光が定番。

筆者は少し疲れていたこともあり港近辺を散策することに。犬を連れて散歩する地元の人々や穏やかな海辺の風景とサンセットの景色に癒やされました。

氷河、野生動物、絶景、歴史。寄港地ごとに異なる魅力があり、毎日発見が多いのもアラスカクルーズならでは。道中では、食事やエンターテインメントを楽しみ、旅の思い出がたくさんできました。
アラスカクルーズならではの旅の準備
時間によっても寒暖差が大きい地域で、筆者が訪れたときは高温注意報が出て日中は長袖1枚でも過ごせるほど。一方で、氷河観光や早朝のデッキは冷え込むため、防寒対策は欠かせません。脱ぎ着しやすい服装に加え、防風・防水性のあるウィンドブレーカーがあると安心です。寄港地観光では歩く機会も多いため、靴は必ず歩きやすいものを持参するのも忘れずに。

また意外と忘れがちなのが紫外線対策。晴れた日は日差しが強く、日焼け止めやサングラスも持参がおすすめ。反対にそれほど気合を入れなくてもいいのがフォーマルウエア。
フォーマルナイトはあるものの、アラスカクルーズは、かなりカジュアルな雰囲気。女性ならワンピース、男性ならジャケットを1枚持参すれば十分でしょう。

船内の日本語対応は? アラスカクルーズはどこで申し込む?
今回乗船した「スター・プリンセス」は、日本語対応はなく、メニューや船内新聞も全て英語。ただ英語は中学生レベルの筆者も、翻訳アプリを活用すれば困る場面はほとんどありません。また日本語ができるスタッフが乗船している船もあるので、不安な方は確認してから申し込むといいでしょう。
問題なのは寄港地観光(エクスカーション)。英語が基本なので、説明が分からずとも体感型で楽しめるものを選ぶのがおすすめ。スキャグウェイでは多言語対応ツアー(日本語あり)に参加しましたが、見どころを解説する機器が配られる一方で、集合時間や乗り換えなどの説明は英語。山頂付近では圏外で翻訳アプリも利用できず、少し緊張する場面もありました。

クルーズ単体で手配するのなら、プリンセス・クルーズの公式Webサイト(日本語表示対応)から検索・予約が便利です。タイミングによっては特別料金やキャンペーンが出ることもあり、お得に手配ができます。
言葉や航空券・送迎手配など不安があるのなら、旅行会社に相談を。サポートがあったり、エアーや現地の送迎なども一緒に依頼できるメリットがあります。さらに費用は割高になりますが、往復の航空券やホテル・送迎も込みの添乗員付きパッケージツアーという選択肢もあります。細やかなサポートが受けられ、寄港地観光も日本語通訳などがありますので安心重視の方は検討してもいいでしょう。
氷河、野生動物、絶景、歴史ある街並みが楽しめるアラスカクルーズ。一生に1度といわず、2度、3度と行きたくなるディスティネーションです。筆者も夫が定年したら再訪するのを今から楽しみにしています。

スター・プリンセスをはじめ、プリンセス・クルーズのアラスカクルーズは2028年まで販売されています。日本発着クルーズの次、あるいは人生の節目を彩る特別な旅として、まずはのぞいてみてはいかが?







