
「突然の家賃値上げ通知」が届いても、焦ってハンコを押してはいけません。
YouTubeチャンネル登録者70万人超の「不動産Gメン」こと滝島一統氏は、借り主の立場がいかに強いかを強調します。同氏の著書『家の購入&売却・賃貸・投資・相続…で損しない 得する不動産バイブル「ハンコ押す前に読む本」』(滝島一統著)は、まさに消費者が武装するためのバイブル。
本書から一部抜粋し、理不尽な家賃値上げを迫られた際の具体的な切り返し方と、大家側が最も恐れる「法定更新」の仕組みについて紹介します。
Q. 家賃の値上げを求められたらどう対応すればいいですか?
A.「法外な水準であれば受け入れなくてよし」(不動産Gメン滝島)
物価上昇、1~2割の値上げも不思議ではない
物価上昇により、契約更新の際に家賃の値上げを言い渡されることもあります。デフレ期には家賃は上がりにくく、むしろ老朽化で下がるケースがほとんどでしたが、建築費の上昇などもあり、家賃も上がってきています。
大家さんが居住者に家賃の値上げ交渉する際のエビデンスとするのは、近隣の相場です。最も説得力があるのは同じマンションの家賃です。
「あなたの家賃は10万円ですが、今月契約した別の住戸は12万円です。よって今の適正価格は12万円です」と言われたら、それは説得力があります。成約したのですから適正価格といえるのです。
地域によっても異なりますが、東京都内では、ここ10年で不動産価格が2~3倍になっています。税金も高くなり、利息も高くなり、修繕コストも上がっている。
そうしたことから考えて家賃が上がるのは当然ともいえますし、1~2割の値上げはあっても不思議ではありません。実質賃金が思うように伸びないので大幅には上げにくい、というだけです。
もし不動産会社や大家さんが家賃値上げについて納得できるエビデンスを出してきたら、ファイティングポーズをとるより、着地点を見つけたいところ。部屋が気に入っているならもめるのは得策ではありません。
不動産会社が交渉に来たら?
居住者としては、家賃が適正かどうかを冷静に考えて、適正であれば応じたほうがいいでしょう。ちなみに、不動産会社は家賃値上げのお願いについて通知することはできますが、交渉はできません。
交渉できるのは当事者である大家さん、または弁護士だけです。不動産会社が交渉に来たら、「通知は受け取りましたが、あなたが交渉するのは非弁行為で禁じられているはずですよね。だからあなたとはお話しできません」と突っぱねていいです。
「大家さんとお話しします」と告げるのです。「大家さんが直で話せないのなら弁護士さんを連れてきてください。その費用を考えたら少し妥協をなさってもよろしいのではないですか? 」などの交渉も可能です。
もしも値上げが法外な水準であるなど、納得できない、応じたくない場合には、屈する必要はありません。それまでどおりの家賃を大家さんの口座に振り込み続けるのです。
もし大家さんが受け取りを拒否したり、返金したりしてきたら、家賃を法務局に供託します。それらを怠ると家賃不払いとして退去理由になってしまいますので、必ず振り込むか供託してください。
通告された家賃が2倍であるなど法外な水準の場合、相手がそれを通すためには裁判が必要です。値上げ交渉の裁判で大家さんが勝つのは簡単ではなく、裁判所からは和解案として1~2割程度の値上げなどが提示されることが多いようです。
裁判費用を考えたら、大家さんも裁判に持ち込みたくはないのです。また家賃の見直しは基本、更新時に行われます。
大家側が恐れる「法定更新」とは?
納得できない場合は「その家賃では更新の手続きはできません」と言いましょう。更新が遅れると契約が切れて、「法定更新」という形になります。
法定更新とは、現契約の条件で期限がない契約のことです。つまり、元の家賃が無期限で続くことになり、大家さんにとっては非常に不利なのです。
普通に考えれば、大家さんは期日までに更新できるよう、条件を見直すでしょう。意外かもしれませんが、どこまでいっても借り主よりも大家さんのほうが立場が弱いのです。
納得いかなければ突っぱね続ける。根拠がある値上げはやむを得ませんが、法外なものなら受け入れなくていいし、ましてや出て行く必要などありません。
文:滝島 一統(不動産会社代表)
1976年東京都生まれ。明治大学商学部卒業後、ミサワホームに入社。25歳の時に渋谷区初台に不動産会社光文堂インターナショナルを設立。2011年より海外不動産事業にも進出。2022年6月、YouTubeチャンネル「不動産Gメン滝島」をスタート。不動産業者に騙されないための情報、物件の見方など、ユーザー目線の情報をコワモテで語る動画が人気を集め、1年余りで登録者数31万人を突破し、現在は登録者数70万人超。不動産の知識がない人が損しないための情報を発言している、不動産業界きってのインフルエンサー。






