106万円の壁がなくなった?(画像:PIXTA)
「106万円の壁」が存在していた賃金要件とは?
そもそも、なぜ「106万円」が壁といわれてきたのでしょうか。短時間労働者(パート・アルバイト)が勤務先の社会保険に加入する条件は、次の5つです。
①従業員数51人以上の企業に勤務していること(2026年1月現在の基準)
②週の所定労働時間が20時間以上であること
③月額賃金が8万8000円以上(年収約106万円)であること
④2カ月を超える雇用の見込みがあること
⑤学生ではないこと(夜間・通信などを除く)
この中でも特に多くの人が意識していたのが、③の「月額8万8000円」の賃金要件です。
「手取りを減らしたくないから、月8万8000円を超えないように働く時間を抑えるべきか……」
と悩む原因になっていました。
令和7年度から最低賃金が全国平均1121円に!
ところが、この「8万8000円」という基準が実質的に消えつつあります。理由は最低賃金の大幅な引き上げです。2025年度の最低賃金は全国平均で時給1121円となり、最も低い地域でも時給1023円まで上がりました。
実際に計算してみましょう……
時給1023円×週20時間×52週=年収106万3920円(月額8万8660円)
つまり、全国どこで働いていても時給が1023円以上で週20時間働くと、この時点で月額8万8000円を超えてしまうのです。
2025年度には全都道府県で最低賃金が1023円を超え、2026年度以降さらに1050~1250円程度まで上がる可能性もあります。
「週20時間働いても、時給が低いから社保に入らなくてすむ」が不可能に
これまでは、「時給が低いから週20時間働いても月8万円未満。だから社会保険に入らなくていい」というケースもありました。しかし現在では最低賃金が上昇したため、週20時間以上働く=月8万8000円を超える、という状況になり、賃金要件は実質的に意味を持たなくなったといえます。
そのため今後は「106万円の壁」を意識してシフトを調整する必要は薄れていくでしょう。
これからは「壁を避ける」より「社会保険の恩恵を活かす」意識へ
これからの働き方は、「壁にぶつからないようにブレーキを踏みながら働く」のではなく、「老後資金づくりのために、社会保険のメリットを受けながらしっかり働く」という意識がより重要になっていくのかもしれません。最低賃金も上がっています。手取りを増やしながら、将来の保障も整える働き方を考えていきたいところです。
【参考】
厚生労働省 令和7年度地域別最低賃金の全国一覧







