その方が大切にしていたのは、「自分の生活リズムに無理なくなじむ方法」で運動を取り入れる視点です。今回は、そのエピソードから見えてくる、物事を習慣化する際の「合理的でしなやかな考え方」をご紹介します。
運動は「朝の15分」から
お会いしたその経営者の方は、50代後半とのことでしたが、姿勢がすっと伸びていて若々しい佇まいでした。キビキビとした動きを拝見して、「何か特別なトレーニングをされているのですか?」と尋ねてみたことがあります。実際は、特定の施設に通うようなことはされておらず、毎朝15分~30分のヨガとラジオ体操を、20年以上欠かさず継続しているというのです。あわせて、日ごろから「よく歩くこと」を意識しているとのことでした。
「わざわざ着替えて、時間を取ってどこかへ行くのは手間でしょう?」と、その方は笑います。特別な場所に行くより、生活の導線に組み込むことの方が楽。「生活との一体感」がある方が継続できると仰っていました。
「歯磨きと同じ感覚」で取り入れる
「習慣にするのはなかなか難しいですよね……」と私がいうと、その方は「歯磨きみたいなものだと思えばいいんじゃないかな。毎日、歯は磨くでしょう? それと同じ感覚よ」と話してくれました。最初から30分もできないため、まずは5分から始めたそうです。それがいつの間にか「やらないと気持ちが悪い」状態になり、生活の一部に。 お金を貯める際も、「毎月決めた額を貯金する」のを当たり前にしていたといいます。健康もお金も、無理に気負わず、淡々と続ける姿勢が共通していました。
食生活で感じたバランスの大切さ
健康もお金も無理せず淡々と、という考えが身に付いたのは、若い頃の苦い経験があったからとのこと。当時は資産を増やすことを優先し、食事に無頓着だった時期があったそうです。安価な麺類だけですませるような生活を続けた結果、体調を崩しかけ、「極端なことはよくない」と反省したといいます。それ以来、無理な節約はやめて、栄養バランスを考えた食事と適度な運動を大切にするようになったそうです。自分を追い込むのではなく、続けられる範囲で整える。その経験が、今のしなやかな習慣につながっているのでしょう。
継続のカギは「自分に合う方法」を半歩から始めること
ジムやスタジオに通うことが気分転換や楽しみになる方も多く、それはそれで素晴らしい活用法です。ただ、今回お会いした方の場合は、ご自身の性格や生活リズムに照らしたとき、たまたま自宅でできる運動が一番合っていた、ということなのだと思います。大切なのは、その方法が「自分にとって無理なく続けられるかどうか」。毎朝の体操でも、散歩でも、階段を使うといった些細なことでも構いません。長く続けるコツは、「自分に合っているかどうか」にあります。
一発逆転を狙わず、地道な積み重ねを大切にする力。それは資産形成にも通じます。「何かを始めなきゃ」と身構える前に、まずは今日から5分だけ、自分にできることを試してみる。その軽やかな一歩が、将来の健やかさと自由をつくる土台になっていくのではないでしょうか。








