大学受験

中学受験で大勝利のはずが名門校で「深海魚」に……大学受験で不利になる中学受験経験者の弱点

中学受験の成功が大学受験でのつまずきに繋がることも。難関校入学後に成績が低迷する「深海魚」現象と、推薦入試で不利になる「評定平均の罠」を解説します。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

中学受験の成功がアダに? 難関校で「深海魚」になる子の悲劇。※サムネイル画像:PIXTA

中学受験の成功がアダに? 難関校で「深海魚」になる子の悲劇。※サムネイル画像:PIXTA

早いうちから受験塾に通い、中学受験を乗り越えた子がなぜ大学受験で苦戦するのでしょう?

知らないと合格できない 令和の受験のフツウ』(西岡壱誠著、じゅそうけん監修協力)は、偏差値35からの東大合格を果たした著者が、最新データや現場取材をもとに、親子が知っておくべき令和のリアルな大学受験戦略を解説する一冊。

今回は本書から一部抜粋し、中学受験の成功が招く「深海魚」現象と、進学校ならではの「評定平均の罠」について紹介します。
<目次>

計画性が育たない中学受験組

中学受験経験者の最大の弱点は、「計画性が育ちにくいこと」です。

彼らは多くの場合、親や塾が用意したカリキュラムに従って学びます。「今日やること」「来週までの課題」「模試の対策」―すべてがスケジュールとして与えられる。

だから、受験が終わった後に“自分で考えて勉強する”段階になると、途端に迷子になってしまうケースが少なくありません。

一方で、中学受験を経験しなかった生徒は、自分で計画を立て、失敗を通じて調整する力が身につきやすい。

高校受験を目指す段階で、自分の弱点を分析し、限られた時間でどう勉強を進めるかを考える必要があるからです。

つまり、「最初は遅れてスタートしても、計画力と自律性を持った人は、最終的に大学受験で逆転できる」構図が生まれやすいのです。

実際、東大・京大・旧帝大などの合格者データを見ると、中学受験組と高校受験の割合はおおむね半々です。

つまり、スタートの早さよりも、自分で学びを設計できるかどうかの方が、長期的には決定的に重要なのです。

難関校の「深海魚」現象とは

もう一つ、中学受験をするデメリットがあります。それは、「深海魚」と呼ばれる現象です。

前提として、中学受験をして名門校に進むことには、基本的にはとても大きなメリットがあります。

周囲のレベルが高く、刺激的な環境に身を置ける。先生も熱心で、教材や課外活動のレベルも高い。つまり、「良い環境に身を置く」こと自体が大きな教育投資になるのです。これは間違いありません。

中学受験をして進学校に入った生徒は、一般的に高校受験組よりも広い学習機会と人的ネットワークを得ることができます。

しかし、そこには一つの落とし穴があります。それが、教育関係者の間でよく言われる「深海魚」という現象です。

深海魚とは、難関中学に入学したものの、入学後の学習についていけず、徐々に成績が下降していく生徒のことを指します。

入試直後は学年の上位にいたとしても、環境の変化・学習量の差・自己管理能力の不足によって、中1~中3までの間で一気に順位を落とし、学校の底辺層に沈んでしまうケースが少なくないのです。

この現象の根本的な原因は、「他律的な努力」から抜け出せないことにあります。

中学受験の時期は、親や塾の先生が学習を完全に管理してくれます。「今日はこれをやりなさい」「次はこの範囲を覚えなさい」といった“指示待ち型”の勉強でも、結果が出せるようにシステムができているのです。

しかし、難関中学に入ってからは環境が一変します。教師のサポートは最小限で、授業の進度も速い。宿題も課題も自己管理を前提に出され、誰も「今日やった?」と確認してくれません。

ここで、自分で学習計画を立てたり、わからない部分を自力で補ったりする“自律的学習力”がないと、一気に取り残されてしまうのです。

実際にインタビューをしていても、こうした構図ははっきり見えます。「中学受験で燃え尽きて、入学後に気が抜けた」「周囲がみんな賢くて、自信を失った」と語る人は少なくありません。

評定平均(内申点)の罠

そして、このように深海魚になってしまうと、もう一つ大きなトラップがあります。それが、「評定平均(内申点)の罠」です。

これは、難関中高一貫校に進学した生徒ほど、学校の評価基準が厳しく、評定が取りにくいという現象です。

大学入試改革によって、総合型選抜 (AO) や学校推薦型選抜の枠が拡大し、「評定平均4.5以上」「学年上位10%」といった条件を課す大学が増えています。

しかし、進学校ではテストや課題のレベルが高いため、平均点が60~70点台に落ち込み、「努力しても評定4を取るのが難しい」という状況が起きています。

極端な話、偏差値70の超名門の中高で評定平均4.5を取るのと、偏差値35の誰でも入れると言われるような中高で評定平均4.5を取るのが、「同じ」評価を受けてしまうのです。

そうなると、名門校に入ってしまったことによって逆に大学受験で不利になるケースもあるのです。
  西岡 壱誠(にしおか・いっせい)プロフィール
中高では学力が芳しくなかった。2浪という厳しい状況の中で、自分自身の学びを徹底的に見直し、独自の勉強法を確立。これにより偏差値35から偏差値70まで成績を伸ばし、東京大学に合格を果たす。この経験をもとに、学びに悩む学生たちに希望を届ける活動を展開中。勉強法や思考法の研究と実践に基づいた著書は、ベストセラーとなり、多くの受験生や教育者から支持を集めている。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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