大学受験

「大学附属=安全で確実な進路」は幻想、「むしろリスクも」。附属校ならではの3つの落とし穴

「大学附属校なら安心」という親の思い込みが、実は子どもの進路を狭める危険性があります。附属校ならではの3つの落とし穴と、後悔しないための注意点を解説します。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

「大学附属校なら安心」という親の思い込みが招く落とし穴。※サムネイル画像:PIXTA

「大学附属校なら安心」という親の思い込みが招く落とし穴。※画像:PIXTA

「附属校に入れば大学までエスカレーターで安心!」と考える保護者は少なくありません。し烈な受験戦争を回避できるメリットの一方で、附属校ならではの落とし穴も……。

知らないと合格できない 令和の受験のフツウ』(西岡壱誠著、じゅそうけん監修協力)は、東大出身の著者が、親子が知っておくべき令和の大学受験の実態を、最新データと現場取材をもとに分かりやすく解説する一冊。

今回は本書から一部抜粋し、「附属校に入ったから安心」という親の幻想が招くリスクと、後悔しないための進路選択の考え方について紹介します。
<目次>

「附属校に入ったから安心」ではない!

親御さんや生徒さんの中には、「自分は附属校に入ったから安心」「大学受験は関係ないから、あとはのんびり過ごせばいい」と考える方が少なくありません。

確かに、附属校に進学できれば、基本的にはそのまま大学に進学できるという“レール”が用意されているように見えます。親にとっても「受験戦争に巻き込まれなくて済む」と大きな安心材料になるでしょう。

しかし実際には、そこには見過ごされがちな落とし穴がいくつも存在します。むしろ「附属校に入ったからこそのリスク」もあるのです。

ケース:附属校に入ったけれど希望の学部に進めない

高校3年生のAさん。中学受験で有名私立大学の附属中高一貫校に合格し、親子で大喜びしました。大学受験をしなくてもそのまま進学できると思っていたため、進路について深く考えずに高校生活を過ごしていました。

ところが高校3年になり心理学に興味を持ち始めたAさんは、内部進学先の大学に心理学を学べる学部が存在しないことに気づきます。

慌てて外部受験を視野に入れようとしましたが、これまで受験勉強をしてこなかったため学力的に厳しく、評定も思ったほど高くないため推薦にも挑戦できません。

「附属校に入ったはずなのに、どこにも行けないかもしれない」と焦りを感じるようになったのです。

大学附属校の3つのトラップ

なぜこのようなことが発生してしまうのか?

大学附属校と聞くと、「レールが敷かれていて安心」「受験勉強に追われなくてもよい」というイメージを抱く方は多いでしょう。

しかし実際には、附属校ならではのリスクが存在します。ここでは特に大きな3つのトラップを紹介します。

トラップ1:進学できる学部が限られている

附属校だからといって、大学の全学部に自由に進学できるわけではありません。内部進学先の学部は事実上指定されていたり、人気学部は定員が非常に少なかったりすることもあります。

高校時代に新しい関心が芽生えても、附属先の大学にその分野が存在しないことは珍しくありません。たとえば高校3年で「心理学を学びたい」と思っても、附属先の大学に心理学部がなければ進めないのです。

つまり「やりたいこと」が後から見つかった場合、それに対応できないという大きな制約があるのです。

トラップ2:評定不足で希望の学部に進めない

また、内部進学であっても、一定の成績基準をクリアする必要があります。附属校では定期テストの成績、提出物、授業態度などが点数化され、それらの合計で評定が算出されます。

その結果、思ったよりも評定が足りずに希望の学部に進めない―というケースは非常に多いのです。

「附属だから安心」と思って油断し、高1・高2で学習や課題提出をおろそかにしてしまうと、後から挽回できずに進学の道が閉ざされてしまうことすらあります。

トラップ3:目的意識の欠如

さらに、附属校にいることで、「大学には行けるから大丈夫」という油断が生まれやすくなります。結果として、進路について深く考える機会を失い、目的意識を持たないまま大学に進んでしまうケースは多いです。

しかし総合型選抜や推薦入試では、この「目的意識」が最も重視されます。

「なぜその大学に行きたいのか」「なぜその学部を選ぶのか」「自分は何を学びたいのか」。こうした問いに自分の言葉で答えられないと、選抜で評価されることはありません。

もっと言えば、多くの附属校は「そのまま内部進学する生徒」が大多数であるため、外部進学の指導体制や推薦入試への対応ノウハウが先生側にも不足していることも少なくありません。

その結果、いざ他大学を受けたいと思っても十分なサポートが得られない、という事態も起こり得ます。

「大学附属=安全で確実な進路」は幻想

多くの親御さんは、子どもが大学附属校に合格した瞬間に「もう受験の心配はなくなった」「このまま大学まで行けるから安心だ」と考えてしまいます。

確かに、附属校に入ること自体が大きな成果であり、一定の安心材料になるのは間違いありません。しかし、この「安心感」こそが最大の落とし穴になり得るのです。

先ほど述べた3つのトラップ―進学できる学部が限られていること、評定不足で希望の学部に進めないこと、そして目的意識を失ってしまうこと―は、まさに「安心しきって油断してしまう」からこそ起きる問題です。

親御さんが「附属校に入ったから大丈夫」と思い込むことで、子ども自身も進路について深く考えなくなり、学部選びや将来設計をおろそかにしてしまうのです。

実際に、「とりあえず附属だから」という理由で高校生活を過ごした結果、希望する学部が見つかったときには進学できず、外部受験の準備もしていなかったために進路に迷う―そんなケースは枚挙にいとまがありません。

つまり、「大学附属=安全で確実な進路」というのは親世代の幻想であり、現実には多くのリスクをはらんでいるのです。

むしろ、附属校に入ったからこそ、早い段階で「どの学部で何を学びたいのか」を子ども自身に考えさせ、必要であれば外部受験の準備も視野に入れておくことが重要になります。
  西岡 壱誠(にしおか・いっせい)プロフィール
中高では学力が芳しくなかった。2浪という厳しい状況の中で、自分自身の学びを徹底的に見直し、独自の勉強法を確立。これにより偏差値35から偏差値70まで成績を伸ばし、東京大学に合格を果たす。この経験をもとに、学びに悩む学生たちに希望を届ける活動を展開中。勉強法や思考法の研究と実践に基づいた著書は、ベストセラーとなり、多くの受験生や教育者から支持を集めている。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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