大学受験

「部活なんか辞めて勉強しろ!」は逆効果か? 大学受験で武器になる、親が知らない部活動の価値

子どもの成績が下がった時、「部活を辞めさせるべきか」と悩んではいませんか。その“善意の介入”が、令和の受験ではかえってお子さんの進路を狭めている可能性も……。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

「大学受験のために部活を辞めさせる」は逆効果だった? ※サムネイル画像:PIXTA

「大学受験のために部活を辞めさせる」は逆効果だった? ※画像:PIXTA

「大学受験のために部活を辞めさせる」親のその判断、本当に子どものためになっているのでしょうか? 昔の常識のままでいると、合格のチャンスを親の手で潰すことになりかねません。

知らないと合格できない 令和の受験のフツウ』(西岡壱誠著、じゅそうけん監修協力)は、東大出身の著者が、最新データと現場取材をもとに「令和の受験」のリアルな常識を解説する一冊です。

今回は本書から一部抜粋し、大学受験における部活動の重要性と、親が陥りがちな古い価値観のリスクについて紹介します。
<目次>

ケーススタディ:バスケ部を辞めさせるべきか?

中高一貫の中堅都内私立校に通うAくん。彼は中学からバスケットボール部に所属し、毎日練習に励んでいます。その分、勉強の成績は学校内で「中くらい」。高2の2学期には少し成績が下がり、親としては不安が募りました。

「大学受験のことを考えると、無理にでもバスケ部を辞めさせて、高2の3学期からは受験勉強に専念させるべきではないか」

Q. あなたがAくんの親なら、どちらを選びますか?

1. Aくんにバスケ部を辞めさせる
2. Aくんにバスケ部を続けさせる

多くの親御さんにこの質問を投げかけると、この状況では「1」の方が良いのではないかと答える人が少なくありません。

理由はシンプルで、「バスケを続けたって将来のためにはならないが、勉強は将来のためになる。だから、多少子どもに恨まれてでも辞めさせるのが親の役割ではないか」と考えるからです。

本当に正しい選択肢はどちら?

しかし、多くの受験生を見てきた立場から言えば、この場合に「1」を選ぶのはむしろ危険です。
理由は2つあります。

1つ目は、親が無理に介入して部活を辞めさせること自体が、子どもの主体性を奪い、親子関係に亀裂を生む危険があるからです。

本人の意思がないまま活動を打ち切られることで、勉強に専念するどころか、反発や無気力を招き、逆効果になることが多いのです。

しかし、それ以上に大きな問題は2つ目にあります。

親は「大学入学の可能性を広げるために辞めさせる」と考えているのに、令和の受験においては、それがむしろ選択肢を狭めてしまう可能性が高いということです。

部活動は「合格の武器」

総合型選抜では、高校時代にどのような経験を積み、それを大学での学びにつなげられるかが評価されます。

バスケ部のように1つの活動を中高6年間続けたという事実は、たとえインターハイに出場していなくても十分アピール材料になるのです。

特に、部長や副部長など役職を担った経験や、仲間をまとめた経験は、志望理由書に具体的に書くことができます。

「部活で後輩を指導するうちに、人に何かを伝えることの面白さを知った。だから教育学部を志望する」

「チームで勝利を目指す中で、戦略やデータ分析の重要性を感じた。だから経済学部や情報学部に進みたい」

こうした形で、自分の経験を大学での学びにつなげることができるのです。

ところが、親が「部活は無駄だから辞めなさい」と止めてしまうと、このような“物語”を語れるチャンスが失われてしまいます。

親の“古い常識”は通用しない

昔の大学受験を知る親にとっては、「勉強時間を増やすこと」こそが最優先に映ります。しかし現代の大学入試では、「どんな活動を通じて学びの文脈を作ってきたか」が重視されます。

ここを理解していないまま昔ながらの受験観を押し付けてしまうと、せっかくの総合型選抜のチャンスを奪ってしまうのです。

実際に、部活動や探究活動を途中で辞めさせられたことで、志望理由書に書けることがなくなり、総合型選抜の出願資格すら満たせなくなってしまった生徒も少なくありません。

つまり、親の“善意の介入”が、子どもの進路を狭めてしまうことも多いのです。

この状況にうまく対応できるかどうかは、受験生本人だけでなく、親御さんの姿勢にも大きく左右されます。
  西岡 壱誠(にしおか・いっせい)プロフィール
中高では学力が芳しくなかった。2浪という厳しい状況の中で、自分自身の学びを徹底的に見直し、独自の勉強法を確立。これにより偏差値35から偏差値70まで成績を伸ばし、東京大学に合格を果たす。この経験をもとに、学びに悩む学生たちに希望を届ける活動を展開中。勉強法や思考法の研究と実践に基づいた著書は、ベストセラーとなり、多くの受験生や教育者から支持を集めている。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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