精神科医・和田秀樹さんの著書『体力がない人の仕事の戦略』では、体力不足に悩むビジネスパーソンへ、「限界まで頑張らない」という「手抜き三原則」を提唱し、体力に頼らない効率的な働き方を解説しています。
今回は本書から一部抜粋し、医師の視点で「いい手抜き」と「悪い手抜き」の違いについて紹介します。
「いい手抜き」と「悪い手抜き」の違い
いい手抜きと悪い手抜きの違いは、どこにあるのでしょうか? その見極めのポイントは、「結果を見据えて、そこから逆算して行動しているか?」という視点の有無にあります。大学受験でいえば、パーフェクトを目指して、すべての科目で満点を取るためにガムシャラに勉強するのではなく、合格水準から逆算して、的を絞った勉強をすれば、すべての科目で高得点を取らなくても、大学合格という当初の目的は達成できます。体力と時間を浪費せず、しっかりと結果を出せることがいい手抜きといえます。
これに対して、結果を出すために必要と思われることをやらないとか、ここで適当にやると結果が出ないとわかっていながら、いい加減にやってしまうことが、悪い手抜きの代表例です。手抜きの下手な人は、結果から逆算することなく、すべてのことに手を抜いてしまいがちです。そうなると、仕事が進まず、成果が出ないだけでなく、勤務態度もよろしくない……と見られて、周囲の評価を落とすことになります。
「手抜き上手」が実践する大胆な手抜きのツボ
手抜きの上手な人は、大胆に手を抜いていたとしても、「ここだけはきちんとしておいた方がいいだろう」というツボを心得ているから、大事なところだけは絶対に手抜きをしません。結果から逆算して、「このポイントさえ押さえておけば、あとはそれほど重要ではない」とわかっているため、手抜きをしていても、きっちりと成果を出しています。完璧を目指してしまうと、自分にムリや我慢を強いることになります。パーフェクトな結果を手に入れようとするのではなく、あくまでも「合格点」を目指せば、ムダに自分のエネルギーを使い果たして、疲れ切ってしまう事態を回避することができるのです。
和田 秀樹(わだ・ひでき)プロフィール
1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。幸齢党党首。著書に『感情的にならない本』『70歳が老化の分かれ道』『80歳の壁』『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』など多数。







