人間関係

43歳バツイチ独身女性「20年まじめに働いても新米すら買えない」人生に求める「転換点」

新卒で入った企業で20年間働いているが、日々節約を強いられている43歳バツイチ独身女性。男女の賃金格差に不満はある。将来への不安も尽きない。だが、「大きな喜びやチャンスのある人生」へ転換すべく、努力を続けている。※サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

プロフィール詳細執筆記事一覧
頑張る人が報われる世の中はやってくるのだろうか(画像:PIXTA)

頑張る人が報われる世の中はやってくるのだろうか(画像:PIXTA)

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」によれば、正規雇用の40代男性の平均月収は40万円前後だが、女性は30万円前後。同じ正規雇用であっても10万円の開きがある。40代独身女性、都内で一人暮らしとなれば、その生活はかなり厳しい。

家賃が高い、物価が高い

都内の古いワンルームに暮らしているトモコさん(43歳)。20代で結婚した経験があるが、約3年で離婚。新卒で入った企業で仕事を続けている。

「現在の収入は手取りで27万くらい。家賃は7万円です。田舎でわずかな年金を頼りに暮らしている母に3万、送っています。食費は1日1000円に抑えるようにしていますね。今年の新米は諦めました。私の食費5日分もかかるお米は買えない」

会社が福利厚生として契約しているスポーツジムがあるので、帰りはなるべくそこに寄って軽く運動をしてシャワーを浴びる。そうすれば自宅の風呂を使う必要がないので光熱費が抑えられる。

「それでもたまには服も買いたいし、友人や同僚と食事にも行きたい。独身一人暮らしで苦しいのはみんな同じだから、安い居酒屋で1杯というのが多いです。共働きで子ども一人とか、結婚した相手が高給とりだったとか、そういう人たちが一番羽振りがいいかもしれません。うちの課長、女性なんですが、夫がコンサル関係でかなりの高収入みたい。時々奢ってくれるので、私たちは『栄養補給』とありがたがっています」

笑いながらそう言うトモコさんだが、ときには「どうしてこんなに節約して暮らさなければいけないのだろう」と思うこともあるという。

収入増を目指し毎晩勉強

「アニメが好きで、その関連である声優さんのファンになったんです。ファンはけっこう地方のイベントまで追いかけていくけど、私にはとても無理。自分のできる範囲で推し活するしかないと諦めています。推し活もお金次第だと思うと、ちょっと寂しいですが」

それでも夢がないわけではない。今までも社内の昇進試験を受けたり資格取得にチャレンジしたりしてきたが、成功してもあまり収入飛躍にはつながらなかった。だから今年からは、収入や立場がかなり変わる資格を取得するため勉強を続けている。

「3年計画ですね。関連のある資格を2つ取得するつもりで、毎晩、勉強しています。でも時期によっては残業が増えるし、なかなか進まないのが我ながら歯がゆい」

気づけば入社20年、同期の男性たちとは収入差もある。自分の方が仕事をしているのにという思いも拭えない。

それでも頑張るしかない

いつまでたっても男女の賃金格差はなくならない。同一の仕事をしているなら同一賃金を払うべきだが、なかなか実現しないのが現実だ。

「システムとしてきちんとしてほしいけど、私が一人でそう叫んでもどうにもならない。だからきちんと資格をとるのが早道だと悟りました」

この先、田舎の母親の介護も視野に入ってくるが、自分が仕事をやめたら食べてはいけない。どうすればいいのかと時々不安になるという。

「私は貯金もたいしてないし、母の介護も不安だけど、自分が病気になったらという恐れもある。今の生活は母も私も元気でないと成立しない。それに私が年金を手にできるのは、きっと70歳越えてから。あるいは75歳になっているかもしれない。そこまでどうやって生活すればいいんだろうと考えることもありますね」

日常のトモコさんの夕食は質素だという。頼みの綱は「納豆」だ。仕事帰りにスーパーに寄って半額商品を買うこともしょっちゅう。ごはんは1度に3合ほど炊き、9つに分けて冷凍保存している。味噌汁は2日で消費する。鍋ごと冷蔵庫に入れておくという。

「肉は安い鶏肉を買って小分けにしておく。牛肉はせいぜい細切れを牛丼にするとか。魚はなかなか高くて買えないので、時々しらす干しを。洗い物が多いと水道代が上がるから、凝った調理はしません」

まじめに働いて20年。それなのに新米さえ買えない生活。何かが間違っていると思うが、日々、生活していかなければならないのが現実だ。

もっと大きな喜びやチャンスがある人生に転換したい

「給料が上がるとか、もっと家賃の安い公立集合住宅を増やすとか、何か対策がほしいところです。映画が好きなんだけど、なかなかロードショーには行けないですね」

さまざまなポイント活用もしたいところだが、そこまでの手間暇をかける時間がないと彼女は言う。

「ボーナスが出たときくらいですかね、少しぜいたくができるのは。この年末年始もおいしいものを買って、実家で母と細々と楽しむ予定です」

一応、正規雇用ではあるし、職場でも私生活でも人間関係に悩みがないのはありがたいことだと彼女は言う。

「ただ、ネガティブなことがないからハッピーとするより、もっと大きな喜びやチャンスがある人生に転換したいとは思っています。なんだか私たち、みんな萎縮しているような気がするんですよね」

地道に頑張る人たちが報われる世の中になる日は来るのだろうか。

<参考>
・「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」(厚生労働省)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます